ちょうど今から1年ほど前、新型コロナウイルスの蔓延と経済への悪影響により、原油価格が暴落しました。

原油の先物価格に至っては史上初のマイナス価格にまで下落し、「原油はゴミ」「いらない子」と呼ばれる状態になり、それはそれは酷い有り様でした。原油を巡って戦争が発生していた時代もあったのに、とても信じられません。

原油価格がマイナスにまで落ち込むことは今後は起こらないと思いますが、もしも将来、昨年と同じような原油価格の暴落が起きた際、どのようにすれば儲けることができるのか?昨年、原油で大儲けした人たちの行動をメモしておきます。

CFDで原油を取引

原油の価格変動で儲けたいのであれば、原油価格に連動するETF(上場投資信託)やETN(上場投資証券)を取引するのが一般的です。原油価格に連動するだけではなく、価格変動の2倍の値動きをするものや、原油価格とは逆の値動きをする金融商品もあります。NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(1699)、NEXT NOTES ドバイ原油先物 ダブル・ブル ETN(2038)など、探せば原油価格に連動する金融商品はいくつも見つかります。

ただし、これらのETFやETNは、東証の立会時間内でしか取引ができません。また、原油は海外発のニュースで値段が動くことが多いため、日本時間の深夜には取引できないとう欠点があります。

そこで、よく利用されるのがCFD(差金決済取引)です。CFDはFX(外国為替証拠金)と似た仕組みの取引で、少ない元手で大きな額を取引できる(レバレッジが効く)、買いだけでなく売りからも入れる、日本の深夜や祝日にも取引できるといった特徴があります。

CFDの特徴
  • 少ない元手で大きな金額を取引できる(レバレッジ取引)
  • 買いだけでなく、売りからも入れる
  • 日本の深夜や祝日でも取引可能

昨年の暴落時に原油で大儲けした人たちの中にも、CFDを利用して利益を上げた方がいたようです。CFDはレバレッジ取引ができるという点でプロ向けの取引方法であるため、あまり一般の方におすすめはできませんが、原油取引で利益を出す方法の参考としてご紹介しました。

もしもご自分でもCFDで原油を取引したいという場合には、元金の数倍の資金を動かせるがゆえに、利益が出るときは爆発的な利益が出せるものの、損失を出すときも一気に数倍のダメージを受けるという事実に注意していただきたいです。

相場は時々過剰に反応するものです。事前の想定では『ありえない』と考えていたことが現実に起こりえます。

実際、2020年の4月には原油価格は1バレル=マイナス40ドル近くにもなっており、ロスカットレート(損切りのポイント)を0ドルにしていた人でさえ、損失を出しています。事前に想定していたよりも遥かに悪い事態が起こりえると想定しておきましょう。

WTI原油先物・期近チャート(SMBCより)

原油を保管する施設の買い占め

原油で儲ける方法はCFD以外にもあります。

原油の貯蔵施設を買い占めて、原油を保管できなくしてしまうのです。

原油は産油国で産出されたあと、タンカー(巨大な運搬船)に積み込まれ、日本やアメリカなど原油を必要とする国々に運ばれます。

その後、各国の貯蔵施設に一時的に保管され、タンクローリーなどに積み替えられて消費地に運ばれていきます。

このタンカーや貯留施設を買い占めることで原油を保管できなくさせ、原油価格を下落させることができるのです。

この方法はコロナショックの時のように、世界中で原油の需要が激減したからこそできた手法でした。

原油の需要が無くなったため、世界中どこへ行っても原油が有り余っており、各国の原油貯蔵施設は満杯でした。それでも産油国ではコロナショック前と変わらずに原油を産出し、タンカーで輸出も行っていたため、タンカーも満杯です。

つまり、コロナショックが起こっていた2020年4月のあのタイミングでは、原油よりも原油を貯蔵するための施設(タンカー、貯留施設)の方が需要が高かったのです。

このタイミングで貯蔵施設を買い占めて、これ以上原油を保管できなくさせるとどうなるかというと、原油の価格が崩壊します。

置き場所に困った原油はゴミ同然 ですので、原油の受け手(購入する側)はゴミ処理費用を請求する事態にまで陥ります。要らない物を送り付けられたら、誰だって迷惑に感じますよね?この当時、原油はまさにこの迷惑な不用品に成り下がっていたため、コロナ前とは打って変わって価格が暴落したのでした。

かくして原油価格は史上初のマイナス価格に値下がりしました。

貯留施設やタンカーを買い占めたうえで、CFDで原油をショート(値下がりしたら利益になる)をし、十分に値下がりした時点で利確。今度はCFDで原油を買建で取引。その後、貯留施設を開放して原油の保管を受け容れれば、市場は正常化され原油価格は適正な価格に値上がりしますので、ここで買建したものを利確すれば莫大な利益が生み出せます。

また、値下がりしたタイミングでタンカーが満杯になるまで原油を購入し、あとで原油価格が正常したときに現物を売っても利益になります。

こうやって一部の大金持ち達は利益を積み上げていたそうです。

需給ギャップはカネになる

コロナショック下の原油のように、需要と供給のバランスが崩れたときにはチャンスが生まれます。

需要の無くなった原油の価格は下がり、貯蔵施設やタンカーの需要が高まりました。この値動きに気付くことができれば、価格差で利益を出せたわけです。

最近でも在宅ワークの普及によりパソコンをはじめとしたデジタル製品の需要が増え、それに伴って半導体部品の需要が激増しています。この影響で自動車用の半導体部品の供給が追い付かなくなり、自動車の製造が停止されたり、自動車用の半導体部品の値上がり、製造企業の利益増大(株価上昇)へとつながっています。

世の中の動きを敏感に察知し、需要と供給の差(需給ギャップ)をうまく掴んで利益を積み上げたいですね。

今回ご紹介した方法のうち、CFD取引は一般の方でも参入できます。

レバレッジが効くので損失が出たときのダメージが大きいですが、取引手段の1つとして用意しておくと、コロナショックのようなことが発生したときに取引チャンスを得られます。

原油以外の商品も取引できるので、気になる場合には口座開設し、数万円だけでも入金しておきましょう。使っていないお金が10万円あるなら、CFD口座に入金しておく価値があります。

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