”世界一の投資家”を1人だけ挙げるとすれば、誰を思い浮かべますか?
私はアメリカのウォーレン・バフェットこそ世界一の投資家だと考えています。
これまでに得てきた投資リターンや保有する金融資産もさることながら、投資哲学からも学べることがたくさんあり尊敬に値する人物です。
そんなウォーレン・バフェットですが、タバコ株にだけはこれまで一度も投資していないそうです。
タバコ株といえば
- 利益率が高い
- 参入障壁が高いのでライバルが少ない
- 依存性が高い商品を作っているため値上げや増税によるリスクが少ない(売上が安定している)
といった特徴があるため、投資家の間では「タバコ株は買い」といった考え方があったりします。
そのため配当金目的の投資をしている方やアメリカ株を取引している方は、ほとんどの方が何らかのタバコ株を買っているくらいです。
それだけ「タバコ株は手堅い」と思われているにも関わらず、バフェットは頑なにタバコ株を拒否しています。
バフェットがタバコ株を買わない理由
ウォーレン・バフェットはなぜタバコ株を買わないのか?
この疑問はアメリカでも疑問に思っている人がいるらしく、こちらの記事↓で言及されています。
原文が英語なので翻訳の怪しい部分がありますが、要約すると
- タバコの世界的な需要は減少する傾向にある
- そのため30年後でもタバコ会社は存続しているだろうが、規模は小さくなっている…とバフェットは考えているのではないか?
- タバコの値段は依存性とプランディングによって付けられている(”価値”と価格の差が激しい)
- 「健康被害を出している会社に投資している」というマイナスイメージ
こんな感じのことが書かれています。
タバコの世界的な需要は減少する傾向にある
タバコは健康被害の認識が広がったことにより、喫煙者の数が減ったり、喫煙者でも本数を減らす傾向があります。
また健康に関する規制がかかったりもしており、イギリスのブリティシュ・アメリカン・タバコ(BTI)はメンソールタバコの規制がかかるということで、将来の売上減少を見込んで株価が暴落しています。
新興国ではまだ需要があるようですが、そういった国々でも教育水準が高まったりタバコの中毒性が認知されるようになれば、いずれは需要が下がると予想されます。
日本でも喫煙者人口は激減していますし、世界的なタバコ需要はこれからも下がり続けるでしょう。
当然売上高は減少しますし、たばこ会社の規模も小さくなります。
中毒性が高いので値上げしても販売本数は稼げるでしょうが、「よい銘柄を保有し続ける」というバフェットの投資哲学には反します。
このような理由から「バフェットはタバコ株を買わない」のだと予想しているみたいです。
価値と価格の差(タバコは実態以上の値段が付けられている)
バフェットは”価値”と”価格”を重要視する投資家です。
「素晴らしい銘柄をまずまずの価格で買うこと」をモットーとしており、「本当は素晴らしい価値があるのに投資家がそれに気付いておらず、なぜか割安で放置されている銘柄」を好みます。
- 価値>株価(価格)
のときに投資するわけです。
しかしバフェットはタバコ株に関して以下のように発言しています。
It costs a penny to make. Sell it for a dollar. It’s addictive. And there’s fantastic brand loyalty.
“Barbarians at the Gate,” page 218
英検0級の私が翻訳してみますと、
「タバコは1ペニーで製造できて、1ドルで売ることができる。その理由は中毒性とブランドによるものだ。」
となります。
これはつまりタバコの利益率の高さを認めつつも、「本質的には価値のないものが、中毒性とブランドのおかげで実態以上の価格で売られている」と言っているようなものです。
つまりバフェットはタバコに関して
- 価値<価格
と考えているわけですね。
これはバフェットの投資方針
- 価値>株価(価格) の銘柄を買う
とは真逆であることを意味します。
だからバフェットはタバコ株には投資しないわけです。
タバコ株を買うとマイナスイメージになる
バフェットは恵まれない人のためにチャリティーイベントを開催するなど、慈善事業に積極的な投資家です。
そして慈善事業に積極的だからこそ多くの人々に愛され、尊敬されているとも言えます。
しかしそんなバフェットが、もしもタバコ株に投資していたとしたらどうでしょう?
慈善事業を行っている裏で、多くの健康被害を出しているタバコメーカーに投資してるとしたら?
もしもそんなことが明るみに出れば、バフェットとしてはマイナスイメージになります。
「現在、あるいは過去を調べてもバフェットは絶対にタバコ株には投資していない。」とは言い切れませんが、マイナスイメージになることを避けてタバコ株への投資は見送っているのだと推測されています。
タバコ株に投資しないからこそバフェットは尊敬される
タバコ株のチャートを見ると、ボロ株時代から大きく値上がりしています。
また、配当金も安定的に株主に還元されています。
もしもバフェットがタバコ株を買っていたら、たくさんのリターンを得られたはずです。
バフェットがタバコ株に対してどのように感じているのか定かではありません。
しかし実際のところ、バフェットはタバコ株には投資していません。
そこには「どんなに利益になりそうだとしても、タバコだけは絶対にダメだ!」という強い意志のようなものを感じます。
この意志の強さや投資哲学を貫く姿が胸を打ち、バフェットの人気につながっているのだと感じました。
参考リンク:
タバコ株に関する内容や健康被害を出すような悪徳企業への投資については、以下の記事にまとめています。イメージは悪いけど”悪徳企業は儲かる”から投資したくなるんですよね~。