ホリエモンこと堀江貴文さんが日産の元会長カルロス・ゴーン氏と対談した動画がYouTubeにアップロードされていたので投資家目線で視聴しました。

カルロス・ゴーン氏は知ってのとおり2018年11月に東京地検特捜部に金融商品取引法違反の容疑で逮捕され、2019年には保釈中に海外逃亡したことでメディアを騒がせている人物です。

ホリエモンとの対談では「日本の司法制度の問題点」が主要テーマなのですが、ゴーン氏が逮捕されたことにより日産の株価が暴落したことなど投資家にとって興味深い話題についても話していたので、投資家目線で気になった点についてご紹介します。

ゴーンが逮捕されて喜んだ幹部たち、ところが日産の株価は暴落し…

ゴーン氏が逮捕された後、現在(2020年)までに日産の株価は半分以下にまで下落しました。

株価チャートを見ると、ゴーン氏が逮捕された2018年11月頃から右肩下がりの綺麗な下落トレンドを形成しています。

ゴーン氏逮捕前後の日産の株価

他の自動車メーカーは日産ほど激しく株価が下落していませんし、ゴーン氏の逮捕後に株価が上昇している会社すら見られます。

ゴーン氏が逮捕されてから日産の株価だけが明確に下がっているということは、ゴーン氏が逮捕されたことにより日産の企業価値が暴落したと言ってもよさそうです。カリスマ経営者の影響力や恐るべし!そしてこれは株主にとっては大損失です。

果たして、この損害の責任は誰がとるのか?

陰謀論めいていますが、カルロス・ゴーンの逮捕劇は当時の日産の幹部たちによるクーデターという意見があります。海外から招かれたゴーン氏がカリスマ経営者として称賛されていた(当時)ことを面白く思っていなかった他の幹部たちが、ゴーン氏を日産から追い出すために検察と結託して事件を”作り上げた”というものです。

真相は闇の中なので真偽は不明ですが、もしもこれが本当だとしたら・・・。「自分たちよりもチヤホヤされている外国人経営者(カルロス・ゴーン氏)を追い出す」という目先の利益のために、株主たちの資産に大ダメージを与えた当時の幹部たちにはしっかりと責任を取ってもらいたいと感じてしまいますね。

もちろん株式投資をするということはこういった事件が発生することも含めて投資しているわけですけど、自分たちの承認欲求を満たすためだけにクーデターを起こしてトップの首をすげ替え、その結果株主に多大な損失を与えたのだとすれば全く持ってケシカランと感じてしまいます。

日本には今後、優秀な外国人経営者が来なくなる

検察により逮捕されたカルロス・ゴーン氏ですが、経営不振だった日産を立て直したことからも分かるように経営者としては優秀な人物です。ゴーン氏が逮捕されたことにより、今後はこのような優秀な外国人経営者が日本に来る可能性が下がりました

なぜならば、どんなに頑張って日本企業の経営を立て直したとしても、日本人幹部による嫉妬やクーデターによって犯罪者扱いされ、最後には惨めな姿で日本を去ることになると世界中に宣伝されてしまったからです。

特にゴーン氏のように検察の特捜部によって逮捕された場合(特捜事件)、有罪率は99%とされています(関連記事:「有罪率99%は誤解」との見方で「特捜事件」を論じることの“誤解”~ゴーン氏『絶望』の理由)。これは「検察に逮捕されたらどんなに無罪を主張しても無駄」というレベルです。

どんなに経営能力が高かったとしても、あるいは高額な報酬を提示されたとしても、これでは日本企業の立て直しを手伝おうとは思わないでしょう。

少子高齢化で消費需要が下がり衰退することが明白な日本では、商品の付加価値を高めたり生産性を向上させるといった企業努力が不可欠。そしてそれらを実現するためには、ゴーン氏のような強力なリーダーシップを発揮できる優秀な経営者が必要となります。

ところがゴーン氏が逮捕され有罪が確定するまでの茶番劇を見せられたことにより、日本企業からオファーを受けている優秀な外国人経営者たちは、「日本にだけは絶対に行きたくない」と感じたはずです。

司法制度も含めて投資対象を判断しよう

ホリエモンとカルロス・ゴーン氏の対談動画を投資家目線で視聴して感じたことを書いてきましたが、経済と政治が密接に結びついているのと同じように司法制度も経済にとって意外に重要な要素だと感じました。

特に現代のようにインターネットを通じて海外の企業にも手軽に投資できるようになった時代においては、政治的なリスクや地政学的なリスクだけではなく投資先の国の司法制度についても軽く調べておく必要がありそうです。

ゴーン事件みたいなことが起こりうる国では優秀な経営者を海外から招き入れることはできませんし、常識では考えられない理由によって企業価値が暴落する可能性があります。そんな国に自分の大切な資金を預けることはできませんからね。

またゴーン事件についてはこちらの本で詳細が明らかにされると思うので、興味があればポチっておきましょう。

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