資産運用を始める方の中には30代や40代の現役世代ではなく、60代や70代など定年退職後にはじめる方もいると思います。

日本人の寿命が延び『人生100年時代』と呼ばれる時代なので、60代で始めてもあと40年、70代から始めてもあと30年もあるので、現役を退いて収入に不安のある方が投資に興味を持つのも当然です。

このページではそんな60代、70代の定年退職後の世代の方に向け、

▶投資初心者がまず知っておかなければならない基礎知識

▶定年退職者が絶対に買ってはいけない投資商品

について解説しています。

シニア世代は分散投資で資産を守る

「卵は1つのカゴに入れるな」という投資の格言があります。

卵(大事なもの)を1つのカゴに入れておくと、そのカゴを落としたときに全ての卵がダメになってしまいます。しかし複数のカゴに分散させておけば、1つのカゴを落としてしまってもすべてを失うことはありません。

投資も同じで、1つの銘柄、1つの金融商品に集中投資しておくと、その銘柄や金融商品が打撃を受けた時に全ての財産を失うことになります。

たとえば1つの企業に全財産を投入していた場合、その企業が倒産した瞬間に資産をすべて失ってしまいます。

そうならないようにするために、買う銘柄を分散させたり、

  • 債券
  • 定期預金

などの金融商品の種類を分散させる、投資先の国を分散させるなどしてリスクを分散させることが必要です。

特に定年退職したシニア世代の方は、年金などの収入がある方もいますが基本的には定期収入が途絶えて現役時代よりも収入が減ります。徹底した資産管理と資産防衛を行わない限り、恐ろしいスピードで口座残高が目減りする可能性があるわけです。

歳を取って若いころのようには体が動かず就ける職種も限られる中で、資産がゼロになるのはイコール経済的な死を意味しています。

そんな絶望的な未来を避けるためには、分散投資によって資産を守る必要があるんですね。

なお、20代30代の若い方は財産に打撃を受けてもその後の人生が長いのでリカバリーすることが十分可能です。そのため、若い方は分散投資よりも自信のある銘柄に集中投資した方が良いという意見もあります。

個人的にはいくら若くても分散投資は必要で資産を守ることを意識した方が良いと考えていますが、若者世代の投資方針にはいろんな手法と考え方があるのでここでは割愛します。

目的別、使う時期別に口座を分ける

分散投資する場合は、お金を使う時期や目的に合わせて別々の口座に分けて管理するのが賢明です。

たとえば時間軸と、使う目的別に口座を分けるのであれば、

  • 短期(1~3年程度):普通預金
  • 中期(3~10年くらい):定期預金
  • 長期(10年以上):株、保険、投資信託

のように分類することができます。

  • すぐに使うお金(生活資金)
  • 将来使うことになる旅行や家のリフォーム用の積立資金
  • 一生涯配当金をもらい続けるための投資元本

に分けるわけです。

口座を別々に管理することで残金がいくらあっていくら足りないのか一目でわかりますし、いま使っても良いお金なのか?それとも将来に備えて確保しておかなければならないお金なのか明確になります。

私も経験があるのですが、投資用の資金と生活資金を一緒の口座に入れておくと、「まだお金がたくさん残ってる」と勘違いして投資用の元本まで生活資金で使ってしまうことがあります。また逆に、携帯代や家賃の支払いのために残しておいた生活資金を、株の購入資金に使ってしまって生活費が足りなってしまったこともありました。

口座が1つだけだと混乱を生むことになるので、最低限短期・中期・長期用の口座は分けるのが必須です。

資金管理に使う銀行口座や証券口座は、店舗を持たないインターネット銀行やネット証券にすると

  • 手数料が安い
  • 利子が多い
  • 夜間や休日でも振替や振り込みができる

などのメリットがあります。

どの銀行や証券会社に口座開設するのか迷っているときは、ネット証券・ネット銀行を検討してみても良いでしょう。

定年退職者はリスク管理が最重要

退職後の世代はなるべく安全に資産運用する必要があるので、リスク管理が重要です。

まず大前提として、資産運用(投資)は余剰資金で行います。最悪の場合なくなってもいいお金、ゼロになったとしてもなんとかなる範囲内の金額で資産運用するのが基本です。

目安としては2年間分の生活資金を普通預金口座に移し、さらに旅行やリフォームなど数年以内に使う予定のお金を定期預金口座で運用します。そして残ったお金を本格的な資産運用資金として使い、株や債券、投資信託の購入資金にします。

金融業界からの勧誘に要注意

本格的な運用を始める前に、決して近づいてはいけない金融商品や勧誘について知っておきましょう。危険な金融商品と危険な人、そして危険な考え方についてです。

まず、資産運用はあくまでも資産の”運用”であってギャンブルではありません。

一般的に株や債券による「投資」は資産運用と呼ばれますが、よく似た響きの「投機」はギャンブルになります。

投資と投機は別物です。投資に分類されるものは株や債券、投資信託があります。

基本的には長い年月をかけてじっくりとお金を増やしていくもので、なかなかお金が増えないですがそのぶん大きく目減りするリスクが少ないです。私達がやるのも投資であり、爆発的に増やすことができない分、資産が目減りするリスクを最小限にしています。

それに対して投機は短期間で一気にお金を増やそうとするもので、何倍にも増やせる可能性がある一方、資産が大きく目減りする危険性が高いです。

投機商品の代表格は

  • FX(外国為替証拠金取引)
  • 先物取引
  • 仮想通貨

が挙げられます。

レバレッジ(借金をして少ない資金で高額な商品を買える売買方法)の有無に関わらず、これらの金融商品を買うのは非常にリスクが高いため当サイトでは買い方の説明などをしない方針です。

金融商品以外にも危険な人・業者がいます。

定年退職が近づくと、ほとんどの方は給与の振込先として指定されている銀行から退職金の運用を勧誘されるはずです。投資信託や保険商品、外国債券や不動産投資を勧められることが多いのではないでしょうか。

彼らが勧めてくる金融商品のうたい文句は「退職後も定期的に収入を得られる。」というものですが、銀行や証券会社、保険屋のいうことはすべて疑いましょう。

むしろ、この人たちの言うことはすべてウソだと思っておいて構いません。

『銀行・証券・保険の勧誘員は悪の三大帝国』というのは、投資家の間では常識です。あなたもこの常識を肝に銘じておいてください。

悪の三大帝国は、顧客からの手数料収入で売上を作るビジネスモデルになっています。つまりあなたが得をしようが損をしようが関係なく、とにかく売買手数料の高い金融商品を勧めることで生計を立てているということです。

銀行員や証券マン、保険の外交員さんはとても良い人なのかもしれません。もしかしたら信頼できる人なのかもしれません。しかしどんなに良い人そうに見えたとしても、彼らがおすすめしてくる金融商品が良い商品とは限りません

彼らも会社や上司から騙されているのかもしれませんし、契約が取れないと罵倒されるから嫌々ながらもあなたが損をする金融商品を勧めている可能性もあります。彼らが勧めてくる投資信託や金融商品はまず間違いなく”絶対に損をする金融商品”なので、どんなにおすすめされたとしても買わないようにしましょう。後悔することになります。

私の父は退職後、埼玉りそな銀行からアメリカドルを200万円分、外貨定期預金で買うようにすすめられ、父は買いました。1ドル125円の時に買ったのですが、その後どうなったのかは明白です。円高が進みドルの価値は下がり、損失を抱えています。

私の父の事例はまだよい方で、外国債券を騙されて買ったり、投資信託を騙されて買った人たちは3,000万円が1,000万円まで目減りしたり、価値が10分の1まで下落している例もあります。いかに銀行や証券会社、保険会社が信用できないかわかりますね。

投資の世界では誰も守ってくれない

以上のように、退職後に投資をはじめるのであれば

  • 余剰資金を使う
  • 分散投資をする
  • 投機(ギャンブル)をしない
  • 悪の三大帝国(銀行・証券・保険会社)の言葉は無視する

ことが重要です。

投資は自己責任ですので、あなたが損失を出そうが投資を始めたせいで不幸になろうが、誰もかばってはくれませんし責任も取ってはくれません。初歩的な知識を備えておくだけで損失を避けられることもあるので、最低限のことは知っておきましょう。

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