2019年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が内閣府から発表されました。

GDP速報値 2019年1~3月期
GDP速報値 2019年1~3月期 増減率の内訳

「2四半期連続でマイナスだと景気後退」と言われている中、前回に引き続き今回もプラス成長を発表できたことで政府関係者は胸を撫でおろしていることでしょう。

しかし今回のGDP速報値は本当にプラスなのか?日本経済が継続的に成長している証といえるのか?については、疑問です。

主要項目の増減率の内訳は悪い

楽観視できない理由として、GDP増減率の内訳を見ると

  • 個人消費が減少
  • 設備投資が減少
  • 輸出が大幅にマイナス

と、主要項目が軒並みマイナスになっているからです。

数字以上に悪い個人消費

GDPは国内で一定の期間内に生み出されたモノやサービスの金額の合計値を意味し、国内の経済規模や景気の状態を表しています。

今回の発表を見る限り、GDPの過半数を占めていると言われる個人消費の数値が低く、国民の財布の紐が固くなっていることが伺えます。

  • 春の値上げによる消費者心理の悪化
  • 賃金の伸び悩みによる消費マインドの低下

これらが重くのしかかっています。

また、今年の10月からは消費税が増税されますが、「増税前の駆け込み需要」による消費の伸びが見られません。

これらを考えると、発表された数字よりも実態は相当悪いのではないかと危惧されているわけです。

大幅な輸入減少

輸入の大幅な減少も気掛かりです。

輸入は海外で生産されたモノを買うことなので、国内で生み出された価値(GDP)にカウントされません。よってGDPの総額からは差し引かれます。

計算上は輸入が増えればGDPは押し下げられ、逆に輸入が減ればGDPが押し上げられるようになっています(統計上のカラクリ)。

今回のGDP速報値では、輸入が4.6%のマイナスと大幅に減っています。

輸入が減少したぶんGDPは押し上げられるため、今回の速報値の結果は前期比プラスに見えるものの、実態はもっと悪い数値なのではないかと考えられているわけです。

自律的な景気回復とはいえない

以上のように、今回発表されたGDP速報値は

  • 個人消費(内需)が伸びていない
  • 統計上のカラクリによる見せかけの数値に過ぎない

といった理由から、「日本の景気はあまり良くない」との見方が多いです。

 

景気回復には国内での消費活動(内需)が活発になる必要がありますが、内需の過半を占める個人消費の伸びは悪いです。

また、内需の他の項目である住宅投資についても、増税前の駆け込み需要による増加と考えられます。公共投資も増えていますが、こちらは災害対策での予算が積み増しされた結果です。いずれにせよ今回の速報値を見る限りでは、「日本の景気はそれほど良くなく、楽観視できる状況ではない」と言えます。

GDPがマイナスだったとしても増税延期には間に合わない

前回消費税が増税延期されたときはGDPの数値が2四半期連続でマイナスとなり、「このまま増税するのはマズい」との見解が政府関係者内での一致した意見でした。そのため難なく増税が延期されました(2015年)。

しかし今回は「数字上では景気後退が見られず、むしろ景気は上向いている」との政府の意見を押し通すことができるため、増税延期は避けられないでしょう。

 

GDPが2四半期連続でマイナスになればまだチャンスがありますが、仮に次回(8月)のGDP速報値がマイナスになり、さらにその次(11月)の速報値でもマイナスになったとしても、10月の増税には間に合いません

景気の実態がどうであろうと、また賃金が伸びないのに増税されて可処分所得が減り消費マインドが下落していこうとも、このままゴリ押しにより増税されるものと思われます。

実質的な景気は良くない(賃金低下)ですし家計の出費も増える(増税)ことになるので、何らかの方法で家計防衛を進めておきたいですね。

 

個人的には株式投資(資産運用)により配当金収入を手に入れたり、株主優待をもらうなどして家計を助ける。あるいはキャッシュレス決済によるポイント還元を活用するのが手っ取り早いと思っています。

「副業をして収入を増やそう!」という意見もあるのですが、大多数の人はそんなに簡単に副業できるわけではないし、ハードルも高いです。まずは情報収集をスタートし、簡単なところから始めるのが良いでしょう。