紙幣の偽造技術が年々高度化する中、偽札を防止するために日本政府が紙幣のデザインを一新することを決めました。
新紙幣の顔は
- 1万円札:渋沢栄一
- 5千円札:津田梅子
- 千円札:北里柴三郎
を採用。2024年ごろを目処に新紙幣の流通を開始するそうです。
また500円硬貨についても2021年ごろから素材やデザインを変更し、新しい500円玉が誕生する予定です。
紙幣のデザインを変更する思惑とは?
冒頭にも書いたように、紙幣のデザイン変更はニセ札の防止が主な目的とされています。
市販のコピー機にはお札をコピーしようとすると上手くコピーできなくなるシステムなどが導入されていますが、それでもプログラムを改造するなどしてニセ札を作ることは可能です。それ以外にも紙の材質やインク、透かしなどを偽装する技術も高まっており定期的にデザインを一新するのはニセ札防止の観点からは必要な措置と言えます。
しかし今回はあえてニセ札の防止以外の観点から紙幣のデザインを変更する政府の意図を読み取ってみたいと思います。
キャッシュレス化の促進
新紙幣へとデザイン変更することにより、ATMや両替機といった現金を取り扱う機械ではバージョンアップ対応が必要となります。新紙幣更新の為には設備投資が必要になるわけです。これは現金決済中心の事業者には負担増となりますので、現金を使わないキャッシュレス決済の促進に効果があるのではないでしょうか。
日本政府はクレジットカードや各種ポイント、電子マネーといった「キャッシュレス決済」の比率を2025年に40%まで高める目標を掲げていますから、新紙幣へのデザイン変更は脱現金化を促進できます。私も新紙幣へ対応できない企業ではキャッシュレス化が進むのでは?と期待しています。
タンス預金が市場に出回りやすくなる
銀行に預けるわけではなく、かといって使う予定もなく各家庭に眠っている「タンス預金」の総額は、日本では約43兆円もあるといわれています。これだけの富が活用されずに放置されているのは、経済にとってはマイナスでしかありません。
紙幣のデザイン変更に合わせ、タンス預金の一部は銀行に預けられたり有価証券の購入にあてられたりするものと期待できます。
正直なところ銀行で新紙幣に交換したあと即座にタンス預金に戻ってしまう可能性の方が高いですが、タンス預金の1%でも市場に出回ることができれば4000億円程度の経済効果を生み出せる計算です。これは侮れない金額ですので、紙幣デザインの変更は経済効果を狙っているのかもしれません。
個人的には【タンス預金は悪】だと思ってますので、「旧紙幣は一定期間内でなければ新紙幣に交換できない」という制度にしてくれれば有難いのですが、さすがにそれは財産権の関係から無理かな…。
以上のように、新紙幣にデザインを変更することにより二次的な経済効果、キャッシュレス促進効果が期待できます。ニセ札防止も大事ですが、古い紙幣はどんどん使えなくして現金決済よりも電子決済を促進し、さらにはタンス預金を禁止して経済を活発にしてほしいですね。
紙幣・硬貨更新の関連銘柄はグローリー (6457)など
新紙幣や新硬貨の関連銘柄としては
- グローリー (6457)
- 日本金銭機械(6418)
- 富士電機(6504)
があります。いずれも紙幣の印刷や硬貨の選別、自動販売機などを製造しているメーカーで、新紙幣対応機種への買い替え需要などで売上アップが見込めます。
今日は各関連銘柄共に前日比プラスになりましたが、どの銘柄も寄り天で終わっています。グローリーと日金銭は朝方はストップ高まで買われていたのに…。
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特にグローリーはキャッシュレス化政策とは真逆の立場にあるので信用売りが積みあがっており、これの買戻しによる踏み上げ効果もあったと思われます。貸借倍率0.3倍は伊達じゃないですね。
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新紙幣対応機への買い替え需要があったとしても、長期的にはキャッシュレス化が進みます。貸借銘柄については今日は絶好の空売りデーだったのかもしれません。こういうチャンスを確実に掴み取っていきたいと思いました。