分散型の投資商品は自分で銘柄を選ばない分、誰でも手軽に始められます。
また個別の銘柄を買うよりも安い値段から投資することもできるので、資金が少ない方でも買うことができます。
たとえば
- 世界中の国・地域に対し「広く・薄く」投資するバランス型ファンド
- 予め決められたプログラムどおりに、自動的に分散投資、およびリバランスを行ってくれるロボアドバイザー
などがあります。
これらの「手軽に分散投資ができる金融商品」は気軽に投資できるし手間も省けるのですが、投資家向けではありません。
今回は、バランス型ファンドやロボアドバイザーといった「分散投資型の金融商品」が投資家的にはあまりお勧めできない商品である理由についてご紹介したいと思います。
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最大のリスク:何に投資しているのか理解していない
分散型ファンドやロボアドバイザーが投資家向けではない理由は、「何に投資しているのかわからない」からです。
たとえば世界中の株式に投資するタイプのバランス型ファンドでは、間接的にですがたくさんの企業の株を買っていることになります。
その結果、「どこの企業に投資しているのかわからない」「何に投資しているのかわからない」という状態になってしまいます。
ロボアドバイザーも、先進国の株式・債券、新興国の株式・債券、および金(きん)などに幅広く投資していますが、個別の銘柄については無知なままです。
「自分が何に投資しているのかわからない」という状態はギャンブルと同じです。
新聞の株式欄を開いて猿にダーツを投げさせ、当たった銘柄を買っているのと変わりません。
分散投資が鉄則だけど・・・
投資の世界では「卵は1つのカゴに入れるな」という言葉があります。
卵を1つのカゴに入れておくと、カゴを落としたらすべての卵が割れてしまいます。
これと同じで、投資も1ヶ所に投資するとその投資先がダメになった(大きく値下がりした)ときに資産が大きく傷つきます。
これを防ぐために、卵は1つのカゴに入れない、複数の投資先にお金を分散させることで、仮に投資先の1つが何らかの理由によりダメになったとしても資産全体が傷つくのを防ぐ…というものです。
ただしこの分散投資には「投資先1つ1つについては、よく知っていなければならない。」という条件があります。
つまり、「何でもいいからとにかく分散させる」という意味ではなく、「よく知っているものの中から数個だけをピックアップして投資する」という意味です。
分散投資と聞いて「何でもいいからとにかく分散させる」と勘違いする方がいますが、これは違います。
クズのような会社を100個集めて分散投資しても、投資成績はクズのままです。
また、分散投資したつもりでも、投資先の業種や国が偏っていれば意味がありません。
災害が発生したり規制ができたりすれば、分散効果も虚しく投資先すべてが壊滅します。
「これは値下がりリスクが少ない」とか「これは値上がりする」という自信のある金融商品を複数見繕って、少数精鋭で投資するから分散投資になるんです。
分散投資を合言葉にしてよくわからないものに投資する(ギャンブル)くらいならば、たった1つのよく知っている銘柄に集中投資した方がマシです。
運用担当者の問題
バランス型ファンドの場合は他にも問題点があります。
ファンドは運用担当者が資産を運用しているのですが、彼らの半数は”素人”です。
1年前まで大学生だった人が、よくわからないままファンドの方針どおりに投資しています。
春は花見、夏は海水浴、秋はバーベキュー、冬はスノーボード…をやっていた人たちが証券会社や保険会社に入社。運用担当の部署に配属されて適当に取引しているだけです。
そんな人たちに手数料を払ってまで大切なお金を預けるのはどうなのかな…と感じます。
自分でバランスの調整ができない
バランス型ファンドやロボアドバイザーでは、ポートフォリオ(組み合わせている金融商品)の配分や組み合わせを自由に変更することができません。
「すべてお任せできる」というのは手間がなくて一見メリットにも見えますが、明かな負け戦になるような場面でも資金配分を変えられないのは大きなデメリットです。
たとえば「先進国のグロース株(成長株)が頭打ちになった、これから適正株価まで下落していくだろう」というのがわかっていたとします。
そのような状況でも、バランス型ファンドやロボアドバイザーはお構いなしに先進国グロース株を保有し続けますし、場合によっては買い増しすることさえあります。
お金が減ることが分かりきっているのに、それを避けられません。
手数料が高い
ここまでの話を読んで、「私はちゃんとバランス型ファンドがどんな商品をどれくらい買っているか把握しているし、ファンドの分散方針にも納得している!運用担当者がどんな人たちなのかも知っている!デメリットも理解している」という方が現れるかもしれません。
しかし、もしも本当に全部把握しているのであれば、バランス型ファンドではなく自分で個別に買った方がいいです。だってバランス型ファンドもロボアドバイザーも手数料が高いですからね。
ファンドの構成銘柄と同じ配分でオリジナルのポートフォリオを自分で作った方が、好きなときにリバランスできますし無駄な手数料も不要。良いこと尽くしです。
というか、本当にバランス型ファンドのことを理解してるならば、自分で個別投資しているはずです。
リスクを抑えたいなら「投資しない」という判断の方が適切
バランス型ファンドもロボアドバイザーも「リスクが抑えられて初心者にもおすすめですよ」というセールストークをよく聞きます。
この場合の”リスク”とは、「初心者がいきなり個別の銘柄に集中投資するよりはリスクが少ない」という程度でしかありません。
そのためもしも「投資によるリスクを抑えたい」のであれば、「そもそも投資をしない」という判断の方が正しいです。
リスクを減らしたいんだったら投資をしないのが一番安全で確実な方法ですからね。
もしくは「手元の資金の全額を投資するのではなく半分だけ投資する」など、投資資金を減額するのが正しい戦略になります。
セールスマンの甘い言葉に惑わされないでください。
バランス型ファンド、ロボアドバイザーは一般人向け
いろいろとバランス型ファンドやロボアドバイザーのことを否定してきましたが、手間がかからないので一般人向け(大衆向け)ではあると思っています。
私は投資をしています!という”雰囲気”だけを味わいたいのであれば、私は止めません。
ただし”投資家”になりたいのであれば、バランス型ファンドやロボアドバイザーは邪道ですしメリットも少ないです。
良いものも悪いものも混ぜ合わせた金融商品を買うよりも、個別の銘柄を研究して投資した方がリターンが大きいし投資家として一生役に立つスキルも身に付きます。
個別の投資先を選ぶ際は、以下の情報も参考にしてみてください。