人気別荘地の軽井沢や首都圏の田園調布、近畿圏の芦屋など「一等地」とされる地域では、一戸建てを手放したくてもなかなか買い手が付かない状況が続いているそうです。とくに敷地が大きく価格も高めな一戸建てはなかなか買い手がつきません。
なぜ「一等地の大型一戸建て」が売れないのか?理由を考えてみました。
一等地の物件が売れない理由1:値段が高すぎて買える人がいない
一等地の物件ともなると、価格は数億円規模にもなります。これだけ高額な物件を買える人は、年収が高い人やたくさんの資産を持っている人などごく少数に限られます。
日本人全体が貧乏になっていき「一億総下流社会」へと進みつつある現在、数億円規模のお金を自由に動かすことができ、高額な家を買える人はほとんどいないのでしょう。
豪邸に住んでいることが一種の社会的ステータスだった時代が終わり、住居にお金をかけるのは馬鹿馬鹿しいと思われているのも1つの理由かもしれませんが、あまりにも値段が高すぎて手の届かない存在になってしまったことは大きいはずです。
一等地の物件が売れない理由2:そもそも買いたいと思う人がいない(需要が無い)
お金持ちが高額な家を買う理由の1つは『節税』です。
むかしはたくさんお金を使った方が国家に支払う税金を少なくすることができるため、高級不動産や宝飾品など高額なものを好んで買っていました。
ところが現在では法律が変わり節税効果が薄れてきており、一等地の不動産など高額な買い物をする意味がなくなりました。
別荘は特に売れない
また特に別荘地では、
- 別荘を所有しているというステータスがなくなった
- 年間に数日しか滞在せず、休日に行ったとしても掃除や草刈りで一日が終わってしまう。せっかくの休日を労働で終わらせたくない
- かといって放置してしまえばどんどん傷んでしまうため放置することもできない。手間がかかるだけ
- 別荘の多くは山奥にあり不便
- エアコンの普及により軽井沢など避暑地として知られた別荘地では優位性がなくなった。エアコンを使えば自宅が避暑地になる
- 新幹線など交通手段が発達した地域では観光客が増加し、静かでのんびりできる…といった雰囲気がなくなった
- 別荘を買うと別荘の近くにしか行けない。ホテルを転々としながらいろいろな場所へ遊びに行きたい。別荘を買うお金があるなら他の遊びに使いたい
という別荘の”現実”を知ってしまい、かつての人気別荘地の人気下落、別荘の売却合戦につながっているようです。
別荘を持つことへの夢を抱く人は今でもいると思いますが、現実的なことを考えると別荘を持つよりもホテル住まいをした方がよほど合理的です。
まとめ:時代が変わった
別荘地の高級不動産や首都圏の豪邸が売れなくなってきた、あるいは売ろうとしてもなかなか買い手が付かない現象の理由ですが、
- お金がないので買えない(買える人が少なくなっている)
- 需要が無い
- 特に別荘では所有するメリットよりもデメリットの方が大きいことが知られるようになった
といったものが考えられます。
戦後の物の少なかった時代では「所有すること」が1つのステータスであり優越感を満たすことにもつながりましたが、現代はモノが溢れ、欲しいものはなんでも手に入る時代です。そんな現代においては豪邸や別荘の役割も変わってきており、お金持ちのシンボルではなくなってしまいました。盛者必衰の理ではありませんが、株価が上下するのと同じで物事には良いとき・悪いときがあります。高級不動産が売れた「良い時代」はすでに終了し、別の段階にきているのでしょう。
そのことに気付かないでいると、高値で株を買い塩漬けにしてしまったり急騰銘柄をジャンピングキャッチして大幅に資産を減らす投資家のように、残念な人になりかねません。
時代の変化を読み(できれば先読みし)迅速に行動できるようにしたいですね。
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