スタートトゥデイ(現ZOZO:3092)の創業者にして日本を代表するお金持ちの1人、前澤友作氏の「ぼくがかんがえる せかいをへいわにするほうほう」が興味深いです。

世の中からお金をなくせば世界平和は実現できる?

前澤氏が考える世界平和の方法は「世の中からお金をなくす」というものです。

お金は人類が発明したとても便利な道具ですが、あまりにも便利すぎたために絶対視する人が増え、感謝の表現方法(対価として支払う)、価値の保存、携帯性に優れていて便利といった本来の役目を忘れてしまっている人が多いです。

そのため道具に過ぎないお金を「人が支配する」のではなく、反対に「お金に支配される」人が増えました。お金が原因で争いが起こったり無力感や劣等感を増幅されてしまったり、お金が原因で人の命を奪う、あるいは自殺する…といった人まで現れる始末です。

お金がなければこんなことにはならないのに…というのが前澤氏の考えで、「お金をなくせば平和になる」という意見です。

現実にはお金が発明される前から人間同士の争いは続いていたはずですので、「世の中からお金をなくせば平和が実現できる」わけではないでしょう。ですが平和を実現する1つの方法として”ありえる”ように感じます。

もしも世の中からお金がなくなったら?

もしも世の中からお金という概念がなくなったらどうなるのか?

おそらく現代ほどの社会の発展スピードは維持できないでしょう。しかしそのかわりにお金を原因とする争いは消えます。

そして何かを手に入れたいときには物々交換が基本となり、仮に対価として渡せるものが無かった場合には「相手に感謝を伝える」ようになるでしょう。

たとえばレストランに行って食事をしたとき、お店を出る際にお金を払うのではなく「とても美味しかったです。ありがとう。」と感謝を伝え、さらにたくさんの感謝を伝えたいときには自分の友人たちに「あのお店の料理はとても美味しいよ。しかも店主はとても親切で良い人だ。」と伝えて回ります。その口コミがさらに人を呼びお店は繁盛し、店主の信用もうなぎ登りに上昇します。

店主は感謝されると気分がいいので「もっと美味しい料理を作ろう!」「もっとみんなに喜んでもらおう!」とやる気が出て、より良い料理が作られることになります。店主は周りの人たちからの評判も良いので、農家や漁師さんたちも喜んで食材を提供してくれるようになります。

こういった「感謝の輪」がお金の消失と共に生まれます。

お金を払う人が偉いわけではなくなり、いやな仕事をしなくても済むようになる

お金の概念が消失し、物々交換できるような対価さえ持っていない人はどうなるのか?

彼らは先ほども書いたように、相手に感謝を伝えることで欲しいものをなんでも無料で手に入れることができます。そうなると当然、誰も働く人がいなくなるのではないのか?という疑念が生じます。

これに対して前澤氏は

働いても働かなくても無料で生活していけるなら、自分さえ良ければと、ただただ商品を消費し、人は働かなくなってしまうのでしょうか。

僕はそうなるとも思えません。

お金がない世界では、過剰な消費や、華美な贅沢をする人は、おそらく尊敬されません。まったく働かない人も同じく尊敬されないでしょう。

お金がない世界では、自分の好きなことや得意なことを仕事とし、人を喜ばせ感動させる人に感謝が集まります。また、本来仕事とはそうあるべきものだったことに多くの人が気づくはずです。

といっています。

現在の「お金の存在する世界」で私たちが想像すると、「お金がなくても生きていけるんだったら働く必要ないじゃん。無職最高!」となります。しかし本当に「お金が存在しない世界」になった場合、このような考え方で周りの人から助けてもらってばかりの人は尊敬されませんし、愛想を尽かされて生きていくことができなくなってしまいます。食べものなど価値あるものを受け取るのと同じように、なにか価値あるものを提供しない限りは生きていけません。逆に、過剰な消費を繰り返す人もまた尊敬されず、人々から愛想を尽かされ生きていけなくなってしまうでしょう。

お金のために働く必要がなくなった世界では、生きていくために、自分の得意なことをして誰かに喜んでもらうのが普通になります。また、本来仕事とは「誰かを喜ばせるもの」「価値を生み出すことで対価を受け取るもの」ですが、お金の概念が消失することで仕事とは本来どういうものだったのかに人々が気付くことになりライフスタイルがガラッと変わるでしょう。

お金のために好きでもない仕事をしたり誰かと無用な競争をする必要がなくなれば、不幸な人生を送ったりストレスを抱えたりする人は減るはずです。いまよりももっとニコニコした顔で仕事をする人が増えるんじゃないでしょうか。なんか、いまよりも楽しい世界になりそうです。世界平和も実現しそう。

資本主義の次の社会は?

今の世の中はお金の存在感がありすぎるため「お金をなくす」のは難しいでしょう。ですがもしもお金がなくなったとしたら…と想像するのは自由です。お金の存在しない世界がどのような世界なのか、一度でいいから体験してみたいですね。

「お金を無くす」と書くと嫌儲厨だと思われてしまいますが、私はけっしてお金が嫌いなわけではありません。ただ純粋に面白そうだなーと思っただけです。

いまの日本や主な国々は資本主義社会ですが、経済学者によると資本主義は「最高ではないが、現時点では最適な社会システム」なのだそうです。現時点では”最適”ではありますが”最高ではない”ので、もしかしたら資本主義のさらに上の社会として「お金の存在しない社会システム」があるのかもしれません。

可能性はゼロではないので1回やってみたら面白そうです。

お金の力でお金をなくす

ちなみに前澤友作氏によると、お金の存在しない社会の実現と世界平和の実現のためには「お金をなくすために、もっとお金を持たなくてはならないと思っています。」とのことです。

悪党が世界平和を実現するのに似ていてヨルムンガンドコードギアスを思い出します。

全てを手に入れた者が、自分の手に入れたモノを社会から抹殺する…というのは漫画やアニメにありがちですが、現実世界でも実現できるのか?世界中の富を手にした者が全ての富を手放すことができるのか?事実は小説より奇なりというが果たして…。

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