先日、上場廃止のパターンとして興味深い事例を見つけました。
株式投資の世界で上場廃止と聞くと、
「株券が紙くずになる(価値がなくなる)」
「株価がゼロ円に近づく」
「上場廃止前のババ抜きゲームが始まる
とイメージしていたのですが、このパターンでは逆に株価が急騰していました。
上場廃止が決定しても既存の株主にとって利益になる「スクイーズアウト」というパターンについてご紹介します。
[:contents]
スクイーズアウトの目的と上場廃止になる理由
スクイーズアウトは主に少数株主の排除を目的として行わる、株式の強制買い上げ等の手法のことです。
上場企業の中には親会社や創業者が大株主となり、経営方針への絶大な発言力を持っている場合がよくあります。
しかし彼ら大株主の経営方針に反対してくる少数の株主も存在し、会社の経営上では邪魔な存在です。
そんな少数株主たちを排除するため、スクイーズアウトによって少数株主が持つ株式を強制的に買い取ったり失効させたりします。
上場企業の場合はスクイーズアウトによって、いままで個人株主たちが持っていた少数の株が大株主の元に集中することになり株主数が激減。
これが上場基準を満たさなくなるために上場廃止へと至ります。
スクイーズアウトすることによって、会社側は邪魔な少数株主を排除することに成功。
新しい事業をスピーディに展開できるようになったりします。
スクイーズアウトのパターン
スクイーズアウトのパターンとしては主に4つあり、いずれも少数株主を排除する目的で行われています。
- 大株主(90%以上)による株式等売渡請求
- 株式併合を応用し、単元未満株(端株)の効力を失効させる
- 全部取得条項付種類株式を活用
- 親会社の株に株式交換して、交換時に株式併合で少数株主の保有株を端株にして失効させる
「1、大株主(90%以上)による株式等売渡請求」は少数株主の保有分を大株主が強制的に買い取る手法のことで、たいていの場合は現在の株価よりも高い買い取り価格を提示してもらえます。
自分の保有株が株式等売渡請求でスクイーズアウトされた場合、これだけで利益になるわけですね。
この場合、普通に売っても利益になりますが、買い取り価格に意義がある場合は裁判所に申し立てることもできます。
旧カネボウが営業譲渡決議を行った際には、反対株主をスクイーズアウトによって排除しようとしました。
しかし、このときにはあとで不服申し立ての裁判が行われて、大株主が提示した株価よりも2倍くらいの株価で買い取ることが決定されたそうです。
つまり大株主の方針に素直に従って売り渡していた場合よりも、ゴネて裁判を起した場合の方が儲かったということです。
最近のスクイーズアウトによる上場廃止の事例
スクイーズアウトによる上場廃止ですが、最近だと光製作所(8191)があります。
2018年11月30日に、株式併合とそれに伴うをJASDAQ市場からの上場廃止を発表しています。
株式併合、単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更、並びに臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
発表時、これまで個人株主たちが保有していた端株については現在の株式単位に換算すると1株当たり6,750円相当で買い取ることも明記されていました。
これが11月30日時点の株価よりも高かったことから株価急騰につながります。
上場廃止になると普通は株価が急落するのですが、この場合は逆に高値で買い取ってもらえることになるため買い注文が殺到したかたちです。
情報収集できればセンスがなくても利益が出せる
今回はスクイーズアウトの仕組みと、スクイーズアウトによる上場廃止が株価上昇につながった事例をご紹介しました。
こういった知識を予め知っておくだけで、センスのない方でも株式市場で利益を出すことができます。
知識(情報)はお金につながるので、情報収集や勉強は欠かせないですね。
参考リンク:
日々の情報収集をしたい方は下記のまとめページをご参考に。国内外の経済情報や株式市場の情報を素早く入手できるウェブサイトをまとめています。