投資をやっているとよく「この会社は業績が~」という話題を目にしたり耳にしたりします。
株価はその会社の将来の業績を見越して動くものなので、株式投資をやるなら業績は必須のチェック項目です。
私は企業が公表しているお金に関する資料の読み方が全然わからず、まったくの素人だったので入門書としてこちらの本を買ってみました。
図解入り、カラー表示でわかりやすく説明されていたので初心者や数字に弱い方にもおすすめの本です。
決算書を読む力は現代の必須能力
現代のビジネスマンの必須能力は、パソコンやインターネットを駆使する「ITスキル」、海外の人と仕事をするために使う「英語」、そして取引先のことを調べるのに必要な「決算書を読む力」と言われているそうです。
『オールカラー “ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』ではこのうち「決算書を読む力」にスポットを当て、決算書の初心者でも視覚的に理解できるように説明されています。
決算書が読めることで会社の本当の姿が明らかになり、取引先だろうが自分の会社だろうが、実態がどうなっているのかわかるようになります。新しい会社と取引するのであればその会社に支払い能力があるのか判断できるので、納品後に支払いが遅れたり支払いをせずに逃げられるといった事態も防げます。就活生や転職を考えている方であれば、これから働こうと思っている会社の資金繰りを見通すことができるので、給料やボーナス、将来の倒産リスクといったことまで見抜けるようになります。
このように決算書が読めることでいろんなメリットがあるので、ビジネスマンなら決算書が読めた方がいい!って言われているわけですね。
何に注目すべきなのか一目で分かるようになる
前置きはこのくらいにしておいて本の内容に移ると、本書では決算書のうちどの項目に注目すべきなのか?が1つ1つ丁寧に説明されています。
たとえば賃借対照表(B/S)を見ていて固定資産が急激に増えている会社があった場合、
- どんな理由で増加している場合なら大丈夫で
- どんな理由で増加している場合は倒産の危険があるのか?
が説明されており、今後は賃借対照表を見れば取引先の状況が一発でわかるようになります。
投資家目線で言えば、「業績が安定していて株価も順調に伸びているように見える会社が実は赤信号の危険な会社だった…」といったことが見抜けるようになるわけです。
投資家がよく見る情報源としては会社四季報がよく使われていますが、賃借対照表のように四季報には載っていない情報を読めるようになれば、それだけ他の投資家よりも優位に立てます。
他にもキャッシュフロー計算書の解説ページでは、総資本回転率を同業他社と比較したりして、もっとも資金効率の高い会社を選ぶ方法がわかるようになります。投資家から集めた資本(お金)を効率的に商品に変え、市場で売り、お金を回収する・・・。このサイクルが無駄なく素早く回転できる会社ほど利益が出しやすい良い会社であり、投資先としても魅力的な会社です。
こういった情報が
- 損益計算書(P/L)
- 賃借対照表(B/S)
- キャッシュフロー計算書(C/F)
の各項目を見ながら逆引きで調べることができ、私のような決算書の初心者でもちゃんと理解することができました。
個人的にもっとも役立ちそうだったのが、キャッシュフローの区分から会社のタイプを見抜く方法です。これは四季報にも載っている情報ですが、大量の上場企業の中から良い会社だけを一瞬で判断するのに使えると思いました。

欠点は”詳しすぎる”こと
初心者目線で見た場合の本書の欠点は、”詳しすぎること”です。
1ページ目から読み進めることで決算書の各項目の内容と読み方が体系的に理解できるのですが、「〇〇率を計算するためにこの項目を別の項目の数字で割る」といった計算がときどき出てくるため、最初のページから読むと計算だけで頭がいっぱいになってしまいます。
最後のページに逆引きの索引があるので、初心者はとりあえず興味のある項目だけをピックアップし、それから各解説ページを読んだ方がいいかもしれません。真面目に最初のページから読み進めると詳しく書かれ過ぎているために疲れます。

決算書を読むスキルを手に入れてレベルアップ!
以上、決算書の読み方が勉強できる本の感想でした!
投資だけではなくビジネスにも役立てられる内容ですので、興味があれば下記リンク先から注文してみてください。
参考リンク:
決算書の情報を元に投資先を選ぶのはファンダメンタルズ分析に該当しますが、決算書には載っていない、会社四季報にしか載っていない情報を組み合わせることでさらに精度を上げることができます。四季報ではどんな情報に注目すべきなのか知りたい方は、下記記事も併せてどうぞ。こちらも初心者向きの書籍です。