『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』を読んだ感想・書評です。投資の初心者やファンダ派の方には役立つ内容ばかりでした。
「ファンダメンタルズならもう知ってるよ」という方がビックリしてしまうようなことも書かれていたので、ファンダ本を読んだけど全然成果が出ないという方にもおすすめです。
割安・低PER銘柄の株価が安いまま値上がりしない理由
買いたい銘柄が割安かどうかを知る指標の1つに「PER(株価収益率)」があります。
同業他社のPERと比較したり日本株全体のPERと比較したりして、
- PERが低ければ割安なので買っても良い
- PERが高ければ割高なので見送り
といった判断をするために使われるのが普通です。
PERが割安な銘柄は、有名な投資家・グレアムが提唱するところの“安全域の原則”で言えば「安全域が広い=将来的な値下がりリスクが少なく、かつ、大きな利益を狙いやすい」ということになります。
この場合の安全域とは、価値と価格の差分のことです。
価値に比べて価格が十分に安ければ、それだけ安全域が広いため投資対象としては優秀とみなされます。これにより世間では「低PERの株を買えばいいんだ!」といった分かりやすい理論が広まっています。
しかし実際には安全域が広くて投資対象としては優秀なはずなのに、低PER株はいつまでも値上がりせず、場合によってはズルズルと株価を下げてしまうこともよくあります。
『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』ではこの原因を説明しており、
- 低PERの銘柄が投資対象として優秀とは限らないこと
- PERが高い(割高)な銘柄の方が、投資対象として魅力的なこともよくあること
について解説しています。
特に本書では「PERの高さは将来への”期待値”の高さだ」と提唱しているのが印象的でした。期待値の高い銘柄はそれだけ注目されているので投資家に買われやすく、株価も上がりやすいというわけです。
「低PER株を買ったのに全然株価が上がらず、塩漬けになっている」という方は、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』を一読することをおすすめします。
時間がない人のための、四季報で見るべきチェックポイント
投資の初心者さんのための「四季報でチェックすべきポイント」もわかりやすく解説されています。
四季報には上場企業全てのデータが載っていますが、全部企業をチェックするのは正直面倒くさいです。
そもそもどのデータをチェックすればいいのかもわからないので、初心者だと四季報を見てもお宝銘柄を発見するのは不可能。
私も数年前に初めて四季報を買った時は何を見たらいいのかわからず、買ったことに満足しただけで投資には活かせませんでした。
本書でははじめて四季報を買った方のために「四季報の読み方」も伝授してくれています。しかも全部を読むのは時間がかかるので、忙しい方でも短時間でお宝銘柄を見つけられるように「最低限ここだけを見ておけば大丈夫」というチェックポイントも教えてくれています。四季報初心者、投資初心者の方にとっては教科書として使えるでしょう。
テンバガー(10倍株)の共通点と探し方
10倍株、100倍株になる銘柄には共通点があります。
『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』ではタイトル通り、将来10倍、100倍になる銘柄の共通点をリストアップしています。
四季報をチェックするだけで10倍株候補が見つけられるので、株で大儲けしたいなら必見の情報です。
全体の感想と評価
業績データから値上がり株を探す投資手法を「ファンダメンタルズ」と言いますが、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』はファンダメンタルズの教科書になる本だと感じました。
ファンダメンタルのズ本には、
- 低PERの株を買っておけばいい
- 低PER株なら安全域が十分なので損をするリスクが少ない
といったものが多いですが、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』ではこの”低PER神話”を否定する内容が書かれており、個人的には大きな発見となりました。
「PERが低いからこの株を買っておこう」というのは単なる思考停止でしかなく、ツイッターで推奨されている銘柄を買ってしまう人と同じです。
思考停止になるのではなく、「PERが高くても買って大丈夫な銘柄がある」というのを教えてもらえたのはとても勉強になりました。
10倍株・100倍株になる銘柄については最近の実例を出しながら解説しているので、チャートや業績データを自分でも見比べながら検証できたのも良かったです。
ファンダ派、投資初心者におすすめ
『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』はファンダメンタルズを重視している方や、投資初心者さんにおすすめの本です。
四季報の基本的な読み方がわかるし10倍株の探し方もマスターできます。
- いつもやみくもに買ってしまい損失を抱えている方
- ファンダ重視で買った株が全然値上がりせずに困っている方
- 10倍株を見つけたい方
- 四季報の読み方を知りたい方
は、この本で将来大化けする銘柄の探し方をマスターしてください。