前回、【お金の勉強 初級編】お金に強い人ならみんな知ってる「重要な数字」10選【主に税金対策】ということで、個人で出来る節税ノウハウについてご紹介したところ、ツイッターでコメントをたくさんいただきました。

好評だったようですので、今回は事業者向け、経営者・個人事業主向けの節税に役立つ重要な数字10個をご紹介します。個人よりも経営者の方が税金の負担は大きいので、節税ノウハウは重要です。昨今、副業をやっている方が増えているので、きっと役に立つ情報もあるかと思います。

また、現在フリーランスや個人で仕事をしており、いずれは法人化したいという目標をお持ちの方も、どれくらいの稼ぎがあれば法人化した方が良いのか、あるいは法人化しない方がメリットがあるのかについて参考にしていただければ幸いです。それでは、見ていきましょう!

月額最大7万円(小規模企業共済の掛け金)

小規模企業共済の掛け金が月額最大7万円(年間84万円)となっています。小規模企業共済とは、節税しながら貯金ができる優遇制度です。

所得税と住民税を合わせて税率30%の人が年額84万円を納付した場合、84万円×30%=約25万円 の節税効果となります。

84万円貯金をすることで、年間十数万~数十万円も税金が安くなるなんてありがたいですね!小規模企業の経営者や個人事業主にとっては素晴らしい制度です。

800万円(経営セーフティ共済、中小企業の交際費枠、法人税率の境目)

800万円には3つの意味があります。1つずつ見ていきましょう。

経営セーフティ共済の最大掛け金

経営セーフティ共済とは「節税しながら貯金できる」という、中小企業・小規模事業者のための制度です。小規模企業共済と似ていますね。

経営セーフティ共済に積み立てをしておくと、イザという時に無担保・無保証人で掛け金の最大10倍(上限8,000万円)の借り入れができます。倒産防止に役立つ貯蓄型保険とイメージすればわかりやすいでしょう。

法人にかかる税率はザックリと約30%になるため、800万円の掛け金を拠出することで 800万円×30%=約240万円 の節税効果が見込めます。節税した金額だけで、新卒者の年収分くらいが賄えてしまうなんて驚きです。

経営者は個人向けの節税制度も併用できるので、【お金の勉強 初級編】お金に強い人ならみんな知ってる「重要な数字」10選【主に税金対策】でご紹介したiDeCo、つみたてNISAを使い、さらに先ほどご紹介した小規模企業共済を使うことで年間200万円以上もの金額を合法的に節税出来てしまいます。やらない理由が見つからないですね。

こうやって優遇制度を1つ1つ活用することで、年間の節税効果を最大化することができ、お金持ちはさらにお金持ちになっていくんですね!

中小企業の交際費枠

年間800万円までは、会社のお金で接待をしても経費として計上できます。

外食やレジャーなど、接待名目で経費を使い遊びに出掛けている会社もあるのでは?

中小企業の税率の変わり目

中小企業の法人税率は、所得800万円までは15%ですが、所得800万円を超えた分からは23.2%となります。

所得を800万円まで抑えると税率が抑えられるので、利益をこのあたりで抑える経営者も多いです。

約30%(法人の実効税率)

法人の実効税率は約30%といわれています。

法人を作ると、法人税、住民税、事業税などの税金がかかります。これらの各種税金を合算して計算すると、トータルでは30%強になります。

法人を作って経営しても、利益のうち30%は国のモノになる…このような意識がないと法人経営はできませんね。

290万円(個人事業税の事業主控除枠)

個人事業主の「事業主控除枠」は290万円となっています。

フリーランスとして活動している方は職種(業態)によって個人事業税という税金が発生します。税率は営んでいる事業の種類によって異なり、所得の3~5%です。

これだけ税金がかかると、日本という国は商売人にとって優しくない国、商売人の敵だと感じるかもしれませんが、実は優遇措置があるのでそれほど厳しくはありません。

所得を年間290万円以下に抑えれば、個人事業税がかからないんです。

うまく経費を使って所得を抑えることができれば、個人事業税の控除枠内で事業を継続できます。例えば年間350万円稼いで、事業の中で経費が65万円かかっていれば、所得は285万円になるので個人事業税はかかりません。

1,000万円(課税事業者の判定ライン、資本金の節税メリット)

1,000万円には2つの意味があります。これも1つずつ見ていきましょう。

消費税がかかる事業者になるか・ならないかの境目

1つ目は、消費税がかかる事業者になるか・ならないかの境目です。

売上が1000万円を超えるようになると、その2年後から、国に消費税を納めなければならなくなります。

たとえば1個 11万円の商品を販売していたとして、免税事業者のときは11万円が自分の売り上げになったのに、年間の売上が1000万円を超えて課税事業者になった途端、11万円の売上のうち1万円が消費税として国に納付することになります。

これは実質的に10%売り上げが減少したことと同じなので、非常に大きなマイナスインパクトとなります。

節税メリットがある資本金の境目

2つ目は、節税メリットのある資本金額です。

法人を設立する際、最初に出資したお金のことを「資本金」と呼びます。

この資本金を1000万円未満にしておくことで、

  • 住民税が安くなる
  • 設立後2年間の消費税が免除される

という大きな節税メリットがあります。

会社設立時に資本金の金額を1000万円にするのと999万円にするのでは手元に残る金額に大きな差が出てくるので、いくらにするか迷った場合にはできるだけ資本金は抑えましょう。

2年(法人設立後の消費税 免税期間)

資本金1000万円未満の法人は、設立後2年間は消費税の課税義務がありません。

そのため、まずは個人事業主として小さくスタートして、大きく売上が出せるように成長したら法人化する…。このようにして「法人設立後2年間の免税期間」を最大限利用し、消費税の納税を先延ばしにする経営者は多いです。

しかも!2年間が経過した後、今度は分社化(新しい会社を設立)することでさらに2年間の免税期間を手に入れ、これを何度も繰り返すことで永遠に消費税のから逃げ続けている人もいます(笑)

消費税から逃げるための法人設立をやりすぎると税務署から目を付けられるようですが、まだ経営が軌道に乗っていない間や、財務的に盤石ではないときに覚えておきたいテクニックです。

5,000万円(消費税の簡易課税制度が使える)

売上が5000万円以下だと、消費税の簡易課税制度が使えます。

簡易課税制度を利用することで、自社が納税すべき消費税の計算がラクになりますし、納税額が少なくなるケースが多い(節税になる)ようです。

売上が5000万円を超えることにより増えてしまう消費税や手間といったデメリットを考えて、売上が5000万円を超えないように対策している経営者も多いと聞きます。

約15%(会社が払っている社会保険料の金額)

もしもあなたが会社員である場合、会社を通して社会保険料を毎月納めていると思います。実はその金額と同じくらいの金額を、会社も負担してくれています。

つまり会社員は、本来自分1人で払うべき社会保険料を会社と折半しながら払っている、とも言えますね。

会社が負担する社会保険料は、給与として支払う金額の約15%です。

従業員の立場ではなく経営者の立場で考えると、従業員1人あたりに年間300万円の給料を払う場合には、その約15%、…年間約45万円を会社負担で納税しなければなりません。

売上に課税され、従業員を雇っている場合には従業員の給料にも課税されるなんて…経営者の立場で考えると、税金による負担がいかに大きいかわかります。サラリーマンの方は会社に感謝しないとですね。

23%(所得税の一番心地よいライン)

日本の所得税は、所得金額によって細かく納税額が決められており、所得が多くなるほど負担する割合も増えていきます(累進課税)。所得税額は以下のようになっています。

  • 0~195万円:5%
  • 195~330万円:10%
  • 330~695万円:20%
  • 695~900万円:23%
  • 900~1800万円:33%
  • 1800~4000万円:40%
  • 4000万円~:45%

なぜか695万円~900万円のゾーンだけが、上がり方のパーセンテージが3%刻みになっています。

900万円以上稼いでしまうと一気に10%も税率が上がってしまうし、かといって695万円以下の稼ぎだと生活はそれほど豊かに感じられる収入にはなりません。

効率的な稼ぎ方を追求している人は、この所得税率の刻み方が頭に入っており、税率23%の最もコスパの良いゾーンに収入がおさまるように稼いでいます。

 

なお、所得税率23%+住民税10%=33% は法人の実効税率30%とほぼ同じになります。

つまり、所得が900万円を越える金額で社長に給料を支払うと、所得税33%~+住民税10%=43%以上 となり、

個人の所得(43%~)>法人の実効税率(30%)となり、節税になりません。

このことから、上手に税金をコントロールしている方は、社長の給料を所得税率23%の範囲内に収まるようにして、あとは法人にお金が残るようにしています。

3倍(役員退職金の功績倍率)

オーナー社長(自分で会社を築き、経営している社長)の場合、法人に貯めこんだお金は、自分のお金と一緒のようなものです。

しかし、会社のお金は法人の財布に入っているため、社長個人の財布に移さない限りは自由に使えません。法人のお金は法人のものなので、個人で自由には使えない決まりになっているんですね。

そこで法人のお金を社長個人の財布に移すための手段の1つとして、「退職金」を使います。退職金として 法人→社長個人 へと合法的にお金を移すわけです。

 

一般的に、法人から個人に退職金を支払う際には、「役員報酬月額×勤続年数×功績倍率」の範囲内であれば経費として認められます。

社長の場合、功績倍率は3倍が一般的なので、たとえば退職前の社長の給料(役員報酬)が月額100万円だとすると、

50万円×10年(勤続年数)×3倍=1500万円

この金額が法人側で「経費」として支払い可能な上限となり、会社の財布→社長個人の財布 へとお金を移せる最後のチャンスとなります。

 

退職金を受け取ると所得税がかかりますが、退職金にかかる税金は少なくなるように優遇されており、また、社会保険料もかかりません。

つまり、給料として毎月たくさんお金を受け取るよりも、退職金としてまとめて一気にお金を受け取った方がお得ということです。「毎月の給料は少なく、退職金は一気にたくさん」が、節税効果の高いお金の受け取り方になります。

まとめ:制度を上手に活用して豊かな人生を歩もう

知っているか・知らないかだけで、手元に残るお金には大きな差が付きます。

知っている人は複利の効果も味方してどんどんお金持ちになっていきますし、知らない人は無駄なお金(税金)をたくさん支払わされて、いつまでも貧乏な暮らしをすることになります。

当ブログでもお金や資産運用の情報を発信していくので、これからもお金のことをしっかり学んで、実際に行動し、一緒に豊かな人生への道を歩んでいきましょう!

 

また、個人でできる節税ノウハウは【お金の勉強 初級編】お金に強い人ならみんな知ってる「重要な数字」10選【主に税金対策】にまとめてあります。こちらも合わせてお読みください。

【お金の勉強 初級編】お金に強い人ならみんな知ってる「重要な数字」10選【主に税金対策】