投資の世界にはESG投資と呼ばれるものがあります。
これは
- 環境(environment)
- 社会(social)
- ガバナンス(governance=企業統治)
に配慮している優良企業に投資する手法のことです。
財務諸表ではわかりませんし目には見えないけれども、社会から求められるような価値あることをしている企業はおのずと企業価値も上がり株価も上がる!という考えに基づきます。
このESG投資と対極にあるのが、たばこ産業や武器関連、カジノや消費者金融関連の企業に投資するヴァイス(悪徳)投資です。
ESG投資が光なら、ヴァイス投資は闇です。
今回はこのヴァイス投資の特徴や該当しそうな産業、企業についてお伝えします。
悪徳銘柄は景気に左右されにくいのが特徴
ヴァイス銘柄は景気動向に左右されにくく、長期に渡って継続的・安定的に利益を出し続けられるのが特徴です。
不景気でも一定の利益を出し続けられる反面、好景気でもその恩恵を受けられないのがデメリットになります。
景気が良いとESG銘柄みたいなイメージの良い銘柄は注目を集めて割高になりやすく、株価が上がり始める初動で参加できなければ高値掴みのリスクが伴います。
そういう時はヴァイス銘柄に投資するのも選択肢の1つです。ESG銘柄が注目を集めているときはヴァイス銘柄の買いチャンスかもしれません。
- ヴァイス銘柄に投資したお金が何に使われるのか?
- 自分が投資したことでどのような影響が起こりえるのか?
といったことに関心がなく、「とにかく結果にコミット!」という投資家には向いています。
イメージが悪いために世間から見向きもされませんが、それでも着実に利益を上げ続けてくれるので、「高値掴みが恐くていまさら人気銘柄を買うなんて無理!」という方はヴァイス銘柄をチェックしておきましょう。
ヴァイス銘柄(産業)の例
ヴァイス銘柄(産業)には以下のようなものがあります。
- たばこ(健康被害)
- ギャンブル(カジノ、パチンコ、競馬にハマることによる家計破産)
- キャッシングローン、サラ金(家計破産)
- 軍事関連(人の生命・身体への危害、環境汚染)
- ソーシャルゲーム(家計破産、生活習慣の悪化、労働意欲を削ぐ)
具体的な企業名を出すと怒られそうですが、「パチンコ」「軍事」などのキーワードで検索すれば該当銘柄が見つかると思います。
これら闇属性の銘柄だけでポートフォリオを組んで、「悪者ファンド」「ヴァイスファンド」なんてものも作れそうですね。
悪徳率100%の銘柄は少ない
ヴァイス銘柄には武器の生産などわかりやすい銘柄も多いですが、そういったマイナスイメージの事業だけをやっているわけではありません。
たとえばアメリカのボーイングという会社は戦闘機(兵器)を作っていますが、同時に旅客用の飛行機も作っています。
ボーイングが持つ航空機の製造技術がなければ、私たちは気軽に飛行機で旅行したりできなかったでしょう。
また、社会的にマイナスで悪徳な事業なのかどうかを判断するのはとても難しいです。
たとえば世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェットが買いまくっているというコカ・コーラ社ですが、砂糖たっぷりで甘ったるくて糖尿病や生活習慣病の原因になりそうな飲み物を製造しています。
しかしコカ・コーラ(飲料)を好む人は多く、適度な運動をしたり飲みすぎたりしなければ病気にもならないので、「病気の原因を作る悪徳企業」というよりは、むしろ「美味しい飲み物を作ってくれる良い会社」というイメージが強いです。
このように何をもって優良・悪徳と判断するかは人それぞれなので、一概に「この会社は悪徳企業だ!」と決めつけるのは難しいのもまた事実です。
ヴァイス投資、ヴァイス銘柄に対する個人的見解とまとめ
以上のようにヴァイス投資とは、
- 社会的に”悪”とされるような業種の企業に投資することをいいますが
- イメージが悪いため投資家が敬遠する傾向にあり、人知れずひっそりと利益を積み上げる傾向があります
- また景気動向に業績が左右されないため、投資対象としては優秀な銘柄が眠っていることがある
- 悪徳業界だけで稼いでいる企業は少なく、他の優良事業と並行して事業展開してることがある
ということになります。
社会的にどうかと思うようなブラック企業や存在自体が迷惑な企業というものは間違いなく存在しますが、個人的にはヴァイス企業よりも
- 増資を繰り返して株価を下げ続ける企業
- 投資家のことを「会社役員たちの財布」と思っていそうな言動をする企業
- 株主のことを大事にしない企業
の方がよっぽど悪だと感じます。
事業内容だけで判断するのではなく、会社役員の言動や資金調達の方法なども考慮して投資先は決めたいですね。
なお、私はヴァイス銘柄の代表格である日本たばこ産業(JT)を保有中です。
どうしてJT株を買うことにしたのか?買った理由と事業内容は下記ページに記載しているのでよろしければ参考にしてください。