投資用の資産を全部失ってしまったり回復不可能なレベルまで資産が傷ついてしまうことを俗に”退場”といいます。
株式市場でも毎年のように退場者が出ているのですが、もしもあなたが退場したくないのであれば信用取引をしないのが鉄則です。
信用取引は損失が3倍になる諸刃の剣
信用取引とは口座資産の最大3倍のお金を動かせる取引方法のことで、レバレッジを効かせることができるので上手くいけばお金の増える速度が3倍までスピードアップします。
また空売り(売建)ができるので株価が下落する場面でも利益を出すこともでき、とても魅力的な取引方法に見えます。
ですが使い方を間違えると口座資産を傷つけてしまう諸刃の剣です。
3倍の資金が動かせるということは負けた時の損失が3倍になるということも意味しており、損切りが遅れると無限に損を膨らませることになります。
現物取引とは違って信用取引だと毎日金利がかかるので、その分の損失も精神的な余裕をなくす原因になりますし、実際に金利分の損失はボディブローのようにジワジワときいてきます。
信用取引の損失が膨らむと「追証(おいしょう)」といって強制的な損切りも発生します。
たとえ本当に素晴らしい良い銘柄を信用取引で買っていたとしても、また実際に自分が想定したとおりの値動きになったとしても、自分が売り抜けるまでの間に想定とは反対方向へ大きく株価が動くことがあれば追証になり強制的に損切りさせられます。
信用で買った株が一旦値下がりし、追証で損切りした後に自分の読み通りに値上がりしたとしても、もうどうすることもできません。
私も追証を抱えて死にたくなるような損失を抱えたことがあり、強制決済されたあとに数日前まで信用分で持っていた株が爆上げしたことがあります。
損失が確定したダメージと、追証の強制決済後に保有していた銘柄が上昇していき、それをただ眺めることしかできなかったことで二重の苦しみでした。
そんなわけで、もしも株で資産を増やしたいと思っているのであれば信用取引はしない方がいいです。
現物取引だけでも億リ人になることはできますし、よほどの天才でもない限りは信用取引をすると資産が減っていきます。
信用口座開設者の8割は退場している
これは元・証券会社のデータ担当をしていた方からの情報ですが、「信用口座開設者の8割は口座を潰している」そうです。「潰している」というのは”退場している”という意味です。
つまり、信用取引をしている人の8割は退場し、2割の人しか生き残っていないということですね。
これは統計的なデータが出ているそうなので、どの証券会社でも同じだと思われます。
じゃあなぜ証券会社は信用取引の口座開設を勧めてきたり、あるいは信用口座の開設者が悲惨な末路を迎えているという事実を公表しないのか?
「8割の人が損をするものを勧誘してくるなんて詐欺じゃないか!」と思うかもしれません。
そのとおり、まったくもって詐欺です(笑)
証券会社の人は顧客が株を売買したときの「手数料」で食い扶持を稼いでいます。
そのため、顧客が得を使用が損をしようが関係なく、とにかくたくさん取引を繰り返してくれて、売買手数料をたくさん納めてくれればそれでいいわけです。
「信用取引をすると8割の人が損をしています」という事実があったとしても、そんな事実を顧客に伝えてしまうと「じゃあ信用取引をするのはやめよう。」「頻繁に株を売買するのはやめよう。」となってしまいます。
これはつまり証券会社側すれば手数料収入が減ることになってしまうので、口が裂けてもそんな事実は言えないわけです。
ということで、もしも「信用取引なら口座資金の3倍まで株が買えたり売れたりするから資金効率が上がって得じゃないか!」と考えている方がいたら、残念!その方は証券会社の絶好のカモです。
手数料を大量に納めてくれる上客として、これからも証券会社の奴隷として生きることになるでしょう。
証券会社のアナリストが株価を予想するときは大抵いつも楽観的で「株価は上がる!」としか言わないのも、「手数料を稼ぐためには顧客に何回も取引してもらわなければならない。」という同じ理由からです。
弱気2万円vs強気2万7000円 2019年の日経平均、各社こう読む pic.twitter.com/lA22GjpEHo
— ミュジニィ (@musigny1221329) 2018年12月30日
アナリストから来年の日経平均の予想が出てるけど、証券マンは顧客の売買手数料で給料を稼いでいるわけだから、たくさんの人がたくさん株を取引してくれるように誘導します。
つまり、「来年は株は暴落する!(取引しない方がいい)」とは口が裂けても言えない。給料が減っちゃいますからね— ぼくらの (@toushi_30money) 2018年12月28日
このあたりの事情を考慮したうえでアナリストの予想を眺める必要があります。
アナリストは予想がはずれても困らない。株を買ったり売ったりする人がいなくなり、取引手数料(給料の原資)が減ってしまうのは困る。— ぼくらの (@toushi_30money) 2018年12月28日
信用取引での破産は景気に関係ない
さきほどの元・証券会社の方の話によれば、信用口座開設者の退場は、景気が良い・悪いに関係ないそうです。
私もアベノミクスがはじまった頃の2014年に退場していますし、景気自体は良い時期でした。
「そんなに景気の良い時期に退場するなんてセンスねえなあ。」と笑ってもらって全然構わないのですが、信用取引だと景気に関係なく退場できるわけです。
理由としては空売りをすることができたり(損失が無限大に膨らませられる)、信用取引なら同じ銘柄を一日に何回も売買できるからだと思われます(現物は同じ銘柄の「買う」「売る」は一日1回のみ可能)。
また、一度損失を出すと損を取り返そうとして焦って色々と無駄な取引を繰り返してしまい、そのせいで傷口を広げてしまうことも原因の1つです。
信用取引をすると金利のことや反対売買の期限、さらには自分の器を越えたお金を運用していることなどから「独特の心理状態」になります。
これは実際にやってみた人にしか経験できませんが、とりあえずヤバイです。
もしも信用取引をするなら超短期で
以上の理由から、私は信用取引をおすすめしていません。
もしも信用取引をするのであれば節税クロスや優待クロスのように超短期間だけの取引にしたり、保有株が下落したときのための保険(リスクヘッジ)として使う程度に留めましょう。
繰り返しになりますが、信用取引で8割の人は退場しています。