藻類の仲間”ミドリムシ”で有名な「株式会社ユーグレナ(2931)」の事業内容とリスク、株価や株主優待についてまとめました。
やってることは凄いんだけど、お金に結びついていないのが難点な会社です。
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ユーグレナの事業内容と株価
株式会社ユーグレナは藻類の「ミドリムシ(学名:ユーグレナ)」を活用した機能性食品や化粧品を販売している会社です。
ミドリムシを使ったバイオジェット燃料の研究開発も行っており、2018年には実証プラントが完成しました。
ユーグレナ社ではミドリムシを食品として活用する技術を強みに、
- ミドリムシ含有の飼料で比内地鶏を育成
- ミドリムシ入りのお酒「みどり酒」の開発
なども行っています。
ミドリムシ入りの餌で育てた鶏は都内のレストランでも提供されているそうです。
食用ミドリムシの生産設備がある石垣島ではカフェ(ユーグレナ・ガーデン)も開店させており、ミドリムシの消費量増加と知名度向上に役立てています。
地域活性化への貢献活動や社員の労働環境改善にも積極的。
ミドリムシの食品利用は社長の出雲充 氏が海外の貧困問題の解決を目指して始めた事業と言うこともあり、貧困問題の解決にも積極的に取り組んでいます。
ユーグレナ社がやっていることや理念は素晴らしいのですが、株価は低迷中。
研究開発や設備投資にジャブジャブお金が出ていくので、手元にお金が残りません。
売上高は年々増えているのですが、投資対象としては微妙です。
出雲社長について
ユーグレナの出雲社長は海外の貧困問題や地球温暖化など、スケールの大きな問題の解決に興味があるようです。
会社のホームページを見ると「100年先を見据えた事業」を語っており、ソフトバンクの孫正義会長が語った「300年先を見据えた計画」に似たものを感じます。
出雲社長が大学1年生の夏に初めて行った海外は、世界一貧しい国といわれるバングラデシュ。
このときの強烈な体験が元になり、栄養問題を解決しうる「ミドリムシの食品化」に執念を燃やすようになったようです。
いつも「緑色のネクタイ」を締めていますが、ミドリムシのイメージとぴったり。
ユーグレナの株主優待と権利確定日
株主優待は
- 100株~:自社指定商品(健康食品等)1,000円相当
- 500株~:自社指定商品(健康食品等)1,500円相当
がもらえるほか、自社指定商品割引販売カタログが100株以上の株主に届けられます。
株価700円で計算した場合、100株保有者で利回りは1.4%。
自社商品として何が届くのかはわかりませんが、代表商品である「飲むミドリムシ」だった場合、ネットショップを見ると1本あたり250円前後で販売されているので優待1,000円相当だと4~5本程度といったところでしょうか。
ユーグレナ社ではミドリムシ食品以外にも化粧品やサプリメントを販売しており、割引カタログではこれらの商品が安く買えそうです。
配当金は現在出しておりません。
権利確定日は毎年9月末となっており、次回は2019年9月25日です。
バイオ燃料事業が始動
ユーグレナ社のニュースとしては、2018年10月末に日本初の航空機向けのバイオ燃料生産工場(実証プラント)が完成しました(設備の概要はこちら)。
この工場ではミドリムシを絞った油と使用済みの食用油を原料にして、
- 国際的な規格に適合した航空機向けのバイオ燃料
- バイオディーゼル燃料
が生産できるそうです。
生産コストは1リットル当たり1万円と超高額。
ユーグレナの計画としては2025年までに生産体制を2000倍に増やし、大量生産によりコストを100分の1まで下げる目標を掲げています。
現在の生産体制は日産5バレル(約795リットル)。年産125KL(12万5,000リットル)を予定。
毎日700リットル生産して年間200日間稼働すれば140KL(14万リットル)生産できるので、生産体制にはやや余裕があります。
まだ実証プラントなのでトラブルも多いと思われ、安定供給と生産体制の増加、コスト削減がどこまで実現できるのかに注目です。
バイオ燃料の販売先と売り上げ予想
ユーグレナ社ですが、日本をバイオ燃料先進国にすることを目指す『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言をしています。
GREEN OIL JAPANには横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、全日空(ANA)、ひろしま自動車産学官連携推進会議が参加しており、ユーグレナ社が生産したバイオ燃料は参加企業への供給が期待できる状況です。
販売先が決まっているのは良いことですね。
また、年産125KLのバイオ燃料をリッター1万円ですべて販売できた場合、12億5,000万円の売上高となります。
生産規模拡大や研究開発、生産コストの削減費用に売上げは消えていくと思われますが、仮に2025年までの目標にしている
- 生産量2000倍(年産2億5000万リットル)
- コスト100分の1(リッター100円)
が達成できたときには、年間250億円の売上高が見込める計算です。
ユーグレナ社の事業リスク
ライバル企業、類似商品の存在
ユーグレナ社の持ち味は「食品用ユーグレナ屋外大量培養技術」を用いた生産体制を持っていることで、日本ではユーグレナ社が独占状態にあります。
しかし同様の技術は海外にも存在し事業展開も進めているらしく、今後の展開次第では競合する可能性があります。
生産ノウハウが漏れる可能性
「食品用ユーグレナの屋外大量培養技術」ですが、ユーグレナ社では情報漏洩を避けるために特許出願していないそうです。
生産を行っている八重山殖産はユーグレナ社のグループ企業に入ってはいますが、ノウハウが流出する可能性はゼロではなく、また、海外の企業などが流出したノウハウで食品用ユーグレナの屋外大量生産にこぎつけるかもしれません。
その場合、ユーグレナ食品の流通や販売に影響が出る可能性があります。
生産体制と供給能力、地政学リスク
食品用ユーグレナの屋外大量培養設備は、沖縄県石垣島にある八重山殖産の工場1ヶ所しかないそうです。年間生産量は160万トン。
そもそもユーグレナ食品の需要が少ないので問題なさそうですが、同工場にトラブルがあり生産がストップした場合には、ユーグレナ社に多大な影響を及ぼすことでしょう。
また、石垣島では陸上自衛隊の駐屯地配備計画も進んでおり、離島防衛が計画されています。
計画されているということはそれだけ海外からの侵略のリスクがあるということであり、紛争が発生した際には食品用ユーグレナの生産ラインがストップする可能性もあります。
まとめ:投資対象としては微妙
ユーグレナの理念や出雲社長の壮大な計画には心打たれるものがあるのですが、投資対象としてはいまのところ微妙です。
株価は下降トレンドの真っ最中ですし、バイオジェット燃料の設備投資などで膨らんだ負債も気になります。
売上高は毎年増加していて良い感じの企業なのですが、「いますぐ投資したいか?」と聞かれたらNo!と答えます。
壮大な計画を実現するためには時間もお金もかかるので、まだしばらくの間は私の投資対象には入らないでしょう。
追記:本決算は営利▲67億、最終損益▲66億
本決算の様子を見ると、事業が軌道に乗るのはもう少し先になりそうですね。
ユーグレナの本決算。今期計画の営利▲67億、最終損益▲66億すごいのきた pic.twitter.com/losPAjYjEm
— じろ(26) (@26ooo) 2018年11月7日