イギリスがデジタルサービス税(通称:デジタル税)を2020年を目処に導入すると発表し、ニュースになりました。
今回はこのデジタル税の内容とみんなの感想・意見、イギリス側の主張と公平性についてまとめておきます。
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デジタル税の内容と対象者(企業)
デジタル税の課税対象者は、世界的に展開しているインターネット企業です。
具体的には「経営が黒字で、年間売上高が5億ポンド以上の企業」を対象にしているようです。
「特定の事業モデルに対しては、利益ではなく、全世界で上げた売上高の2%に税を課す」とも発表されているので、国境をまたいで全世界であげた売上高の2%分に対して課税がされるようですね。
つまり、たとえば全世界で1兆円分の売上があった場合、1兆円の2%(200億円)が課税対象の売上に指定され、この200億円に対して何パーセントかのデジタル税が課税される見込みです。
売上高に2%の課税がされるわけではなく、『売上高の2%分に対して課税される』という点に注意が必要です。
具体的に何パーセントになるのかはわかりませんが、イギリス側は「デジタルサービス税を導入し、年4億ポンド(約575億円)の税収を目指す」と表明しています。
デジタル税の課税対象企業としては、世界的に有名な
- Apple
- Amazon
が間違いなく入っており、これらGAFAを対象とした税金だとされています。
イギリスが主張するデジタル税の課税根拠
世界展開している企業の全世界的な売上高に対して課税する根拠は一体何なのでしょうか?
なんでイギリスだけが課税できるの?なんでイギリスだけが税収を増やせるの?と不思議です。
いちおうイギリスが主張する根拠としては、「消費者の個人情報データを元に全世界的に売り上げを伸ばしているから」というのが言い分のようです。
たとえば
- イギリス人がAmazonでなにか商品を購入したときのデータを元に、アメリカや日本で効果的な広告を配信する
- イギリス人の購入データを元に、他の国で効果的な販売戦略を展開する
国境を越えて事業展開しているインターネット企業では、こういったことが可能です。
そのため、イギリス国内に本拠地を置く企業だけではなく、国際展開している他国籍の企業の売上高に対しても課税します。
このように主張されると納得できる部分もあるか・・・。
デジタル税に対するネットで見つけた意見
デジタル税に関するネット上の意見を探してきました。
- GAFAの儲けすぎは確かに目に余るけど、グーグルアースやスマートフォンなどは莫大な資金とリスクを取る突飛なまでのフロンティアスピリットが生んだものであり、それへのリスペクトと今後の可能性を軽視してはいけない
- 今後は政府が様々な言い分で新たな課税モデルを導入してくる可能性がある
- デジタル税はテクノロジー大手との戦いだ!
- グローバル企業は国という枠組みを超えて拡大し、徴税権が何処にあるのかも不明確。そのような状況では一国の課税強化が他国の税収減につながる。英国だけが徴税を主張しても他の国が黙ってはいない。国同士でカルテルを結ばないと、結局、税率の安い国が企業を誘致し課税逃れの構図が繰り返される。
- 成功したビジネスモデルを羨む気持ちもわかりますが、更に超えるビジネスモデルを作る事こそ重要
- googlemapの英国を黒塗りしちゃえばいい
- 取れるところから取りたいのはどこの国でも一緒
- 税金として無駄使いされるより、テック企業のほうが世界を良くすることにお金使えそう
- 「税金払えないから英国はサービス対象外にします」って撤退すればいい
- 「代表なくして課税なし」という考えに従うなら、企業(法人)には国会議員を選出する権限を与えなければならないのでは?
- こういうことをするとデジタル社会の足かせになる。デジタル技術を使って社会問題の解決に貢献できるビジネスもあるのに・・・
- デジタル税を各国が導入したら、とんでもないことになる
- 製造物責任法とか、環境規制系とか、製造業を縛ってきた規制はいくらでもあるから、ある意味適正で仕方ないことかも。自由なのがインターネットとかいう理念は他の業態からとってみれば通用しないよな
- 自動車税導入されても車産業は衰退しなかったように、仮に実現したとしても影響は限定的では?
- 暗に力関係が 政府(国) < 企業 (gafa) の構図が出来上がってて、自国の企業は発展しないけどgafaは莫大な収益をあげてるから課税を決定させたのかも。企業が国を上回る時代がもうきている
- 政府に税金でお金を渡すよりも有効に活用してデジタルの発展に貢献している会社で使ってもらったほうがよっぽど安心ですし、最終的にはみんなの利便性に繋がる
- この方針での課税が各国でされると、とんでもない多重課税になってサービスが成り立たなくなりそう。そうなるとサービスの取りやめや有料課金ビジネスへの転換をせざるを得なくなり、結果誰も得しなくて制度だけ残るみたいな未来が見える
- むしろgoogleマップのようなインフラは国が用意してもいいくらい。イギリスは逆にお金払えよ。
- 日本は高額な「アナログサービス税」を導入して、紙とFAXを駆逐するべし!
おおむねデジタル課税には反対する意見が多く見受けられました。
デジタル税の公平性について
デジタル税の公平性についてですが、特定の大企業を狙い撃ちするような課税システムなので公平性は無いようにも感じます。
ただ、日本でも所得の増加にともなって税額が増える「累進課税制度」を採用しているので、儲かっている人には大目に負担してもらうという考え方自体は悪くないようにも思えます。
累進課税は「頑張った人に罰を与える制度」とも言えるので賛否両論あると思いますが、十分稼いだ人たちにほんの少し多めに払ってもらう制度なので個人的には「アリ」という立場です。
また、製造業など他の業界には数多くの規制が存在しています(それが政治家の利権にもなっているのですが)。
インターネット事業者だけがノーチェックで事業展開できるというわけにはいかないでしょう。
それに課税金額も規模としてはそれほど大きなものではありません。GAFAの負担は限定的だと考えられます。
よって私個人の意見としてはデジタル税自体は公平な課税システムだと考えています。
だけどイギリス。おめーはダメだ。
なんでイギリスだけが徴税してんだよ。
イギリスだけがデジタル税と徴収するという点が話をややこしくしています。
もしもデジタル税を導入するのであればGAFAが展開している他の国々と協調し、各国での売上高に応じて分配する仕組みを提案するべきです。
「俺だけが税金もーらいっ!」というイギリスの姿勢は、間接的には他国の税収を奪っていることにもなります。
「それなら他の国でもデジタル税を導入すればいいだろう?」とイギリスは主張するかもしれませんが、そうすると今度は「うちは売上高に対して50%課税する」「うちは20%!」など、それこそ公平性がなくなります。
最終的にはGAFAの売上の100%が没収されることになりかねず、テクノロジーの進化や便利な生活への足かせになってしまいます。
だれも得をしない仕組みになってしまいますので、最初からデジタル税について各国と話を付けておく必要があるんです。
ということでまとめると、
デジタル税自体は公平な仕組みだけど、
イギリスだけが税を徴収するのは気に食わん!
ということになります。
今後も税は増えていく
デジタル税は国際展開している大企業を狙い撃ちした課税システムですが、庶民を対象にした税金やニュースにならない規模でひっそりと課される税金は増えていくと予想されます。
税が増えればそのぶん社会保障が充実して安心して暮らせる!という人には良いかもしれませんが、大多数の人にとっては可処分所得が減っていくことになるので、資産運用したり収入源を増やすなどして自己防衛する必要がありますね。
将来に不安がある方は、まだ余裕があるうちに対策を取っておいた方が良いです。
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