「チャートはすべてを織り込む」という言葉があります。
誰が言い始めたのかは知りませんが、私の知っている専業トレーダーの方も「チャートを見れば全部わかる」みたいなことを言っていました。
株価は企業の将来の業績を見込んで変動するものですが、
- なぜチャートを見ればその企業のことがわかるのか?
- なぜ業績や財務チェックをするのではなく、チャートを見た方がその企業のことがわかるのか?
今回はこの理由についてまとめました。
事前情報を察知した人の取引が株価に反映される
有価証券報告書で財務状態を調べてもわからないことが、チャートにはいち早く反映されます。その理由としては、事前情報を察知した人の取引が株価に反映されるからです。
この場合の事前情報というのはインサイダーな情報と言う意味ではなく、その企業の取引先の人や業界に身を置く人たち、その家族などが業績や雰囲気をいち早く察知することを意味しています。
たとえばある業界で働いている人が「最近商品が売れないなー。」と思っていたとします。
自社商品が売れない理由がブームの終焉によるものだと気付いた場合、この方は自社や自社と似た商品を販売している会社の株を売り始め、株価に影響が出始めます。
実際に「業績が悪くなった、これまで売れていた商品のブームが終わってしまった」といった企業からの発表はその数か月後になりますが、チャートを見れば誰かが売り始めていることに気付けることがあるわけです。
私はインターネット事業に詳しいのですが、アフィリエイト事業者が苦しい状況にあることを気付くことができました。
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こういった業界人による売買の影響がチャートには現れるため、「チャートを見ればすべてがわかる」「チャートはすべてを織り込む」という言葉が生まれたのも納得のいくことです。
その業界に身を置く人でなくても、
- 取引先の資金繰りが厳しいようだ、どうやらあの会社は危ないらしい
- ライバル企業がシェア(市場占有率)を拡大している
- うちのお父さん、最近仕事がないみたいだけど大丈夫なのかな?
- 先月行ってみたエステサロンだけど、とても良かったし近所の人の評判もいいみたいだ
こういった情報に基づく株取引は、売上に反映されて有価証券報告書にまとめられたり企業からの発表が出たりする”前”に株価に反映されチャートに現れます。
ファンダメンタルズ分析や財務情報のチェックが無意味とは言いませんが、これらの情報よりも株価チャートの方がより早くその企業に関する情報を教えてくれるので 、
「チャートはすべてを語る」
「チャートを見ればその会社のことがわかる」
といった考えも一理あります。
チャートを見て売買判断をする手法(テクニカル分析)にも「ダマシ」があるので妄信するのは危険ですが、事前情報(インサイダーではない)を教えてくれる株価チャートはとても魅力的です。
自分に合った分析手法を使う
テクニカル分析もファンダメンタルズ分析も、どちらにも長所・短所があります。
ご自分の性格や取引手法、資金量に合わせて使い分けるのが肝心です。
チャートはその企業に関する情報を全部教えてくれますが、相性が悪いのであればチャートに頼らない売買をした方が良さそうです。
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