現在東京証券取引所をはじめとする全国の証券取引所では、株式の売買をする際の単位を100株単位に統一しようとしています。
10年くらい前までは
- 1株
- 10株
- 50株
- 100株
- 200株
- 500株
- 1000株
- 2000株
の8種類の取引単位があったそうですが、段階的に統一してゆき今では100株単位が基本になっています。

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売買単位を統一するメリット
売買単位を100株に統一したのは、投資家たちにとってのメリットになるからです。
銘柄によって売買単位が違うことにより、以前は注文枚数の間違いが頻発するなど投資家にとってのデメリットがたくさんありました。
しかし100株単位に統一されたので、
「1000株売るつもりが100株しか売れなかった」
「100株だけ買うつもりだったのに、1000株も買ってしまった」
といった注文間違い(誤発注)のリスクが減ります。
予定していたとおりの売買ができるようになり、誤発注など余計なリスクを心配しなくても済むようになったので投資家としては喜ぶべき制度改革です。
低位株が低位ではなくなってしまう
誤発注のリスクは減らせたものの、売買単位が統一されたことで新たなデメリットも誕生しました。「低位株が低位株ではなくなってしまう」というものです。
たとえば以前は1株300円以下くらいの銘柄は「低位株」「ボロ株」などと呼ばれ、上場廃止の恐れがあったり流動性が乏しい銘柄として敬遠されていました。
これらのリスクを避けたい人にとっては、「1株300円以下の株は買わない」という判断方法が使えたわけです。
そしてこれら低位株、ボロ株の多くは1000株単位や2000株単位などになっており、売買単位が大きくなることで1回の約定代金自体は他の銘柄と同じように扱われていました。
ところが売買単位が100株に統一されたことでこれまで低位株だった銘柄では株式併合が進むなどしたため、一目でその銘柄が低位株・ボロ株なのか見分けが付きにくくなっています。
たとえばこれまで「1株50円、売買単位1000株単位」だった低位株の場合、株式併合により「1株500円、売買単位100株」での取引に変更されたりしています。
1回の取引における売買代金はどちらも同じ(50円×1000株=5万円→500円×100株=5万円)ですが、株価からはその銘柄が低位株やボロ株なのかは判断できません。
株価が下がって低位株になってしまうのはそれなりの理由があるからです。
そして個人投資家としては「株価が安いので低位株だ。ということはこの銘柄には何かがある。」と、株価からその銘柄のリスクを判断することもできました。
売買単位が統一されたことによりこういったリスク回避の判断方法が通用しなくなっており、投資家は株価だけで安易に判断せず、各自で事業内容や業績を精査する必要性が生じています。
以前は絶対に投資対象になりえなかったような低位株が他の優良銘柄に紛れ込んでも見分けがつきにくくなり、投資家からすれば難易度が上がっています。
まとめ
以上のように売買単位が統一されたことにより
- メリット:誤発注がなくなる。投資に必要な金額を計算しやすくなる
- デメリット:低位株・ボロ株が株価からは判断しにくくなる
というメリット・デメリットがあります。
証券取引所のルールは時代と共に変化していくので、我々個人投資家も時代に合わせて変化・成長していきたいですね。