「アメリカの労働市場ではモラルハザードが起こっている」
ツイッターを眺めていたら、非常に面白い投稿を見つけました。現在、アメリカの労働市場で何が起こっているのか、経済指標をもとに読み解いているのでとても勉強になります。
アメリカで物価上昇(インフレ)が起こった理由についても解説しているので、経済や投資に興味があればご覧ください。
働かなくても失業手当があるから大丈夫!
アメリカは労働市場でモラルハザードが起きてるみたいだ。先週発表された雇用統計。市場予想100に対して結果は26.6ポイント。米マクドナルドは採用ボーナス500ドルを出すと言っても人が来ない様子。これの意図が分かってきた。 pic.twitter.com/AfFmUFFXxa
— YS@Investor and Trader (@satton0723) May 13, 2021
https://twitter.com/satton0723/status/1392977413093564416
アメリカではコロナの影響で失業者が大量に発生しましたが、その後、政府から十分な額の失業手当が給付されています。
働かなくてもお金がもらえるのであれば、働きたくないと考えるのも当然です。5月上旬に発表されたアメリカの雇用統計(4月)が予想をはるかに下回ったのは、働かなくても生活に困らない失業者がたくさんいたために、雇用状況は改善しなかったという考えができます。
7月末までは州政府、連邦政府から支給される手当だけで生活し、手当てが無くなってから仕事を探せばいい…このように考えているアメリカ人がたくさんいることがうかがえます。
日本でも零細飲食店で似たようなことがありましたね。
【特集】「1日6万円」売り上げ以上の協力金を受け取る飲食店の本音 「#協力金バブル」実態は?
もともと売り上げの少ない飲食店では「お店を閉めて協力金をもらった方が逆に儲かる」という現象です。もちろん本当に生活に困っている人を支援することは悪いことではないのですが、「働かない方が儲かる」という状態は人の本性をさらけ出します。
マクドナルドは面接するだけで500ドル配布する店舗も
アメリカでは飲食店の人手不足が深刻で、各社とも人手を確保するために奔走しているようです。
面接を受けるだけで50ドル支給…経済再開のアメリカ、飲食店の人手不足が深刻に
上記記事はタイトルが煽り気味ですが、フロリダのマクドナルドでは、面接に来ただけで50ドルを支払っている店舗が実際にあると報道されています。
(Google翻訳)
フロリダのマクドナルドは、就職の面接のために現れるためだけに人々に50ドルを支払っています。しかし、それでも多くの応募者を引き付けていません。
レストランを所有するフランチャイジーのブレイク・キャスパーは、ゼネラルマネージャーとスーパーバイザーが労働者を雇うために「あなたがする必要があることは何でもする」と彼らに言った後、面接報酬のアイデアを思いついたとインサイダーに語った。
「この時点で、ドライブスルーを動かし続けることができない場合は、インタビューに50ドルを支払う」とフロリダ州タンパにマクドナルドのレストランを60軒所有しているキャスパー氏は語った。
失業手当、雇用統計悪化、マックの面接報酬、導き出される答えは…インフレ!
働かなくてもお金がもらえる状況となり、労働者を集めるだけでも報酬を支払う状況が続いたら、どうなるのでしょうか?
労働者への報酬は上昇し、労働者の報酬を賄うために物価も上昇し続けます。つまり、インフレです。
2021年5月12日に発表されたアメリカ消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.2%の上昇となり、市場にインパクトを与えました。
金利の上昇やハイテク株の下落にもつながるので、アメリカ株に投資をしている方は今後のインフレの推移に注意しておきましょう。
ベーシックインカム議論にも影響がでるか
現在、アメリカの失業者は「働かなくても生きていける」状態ですが、これは、近年注目を集めているベーシックインカムと同じことです。ベーシックインカムは毎月一定の金額を国民全員に給付する制度ですが、まだ実現している国はありません。
- 無理に働く必要が無くなるためブラック企業がなくなる
- 仕事のために働く必要がなくなり、やりたいこと、創造的なことだけをやれる
- 社会保障費を削減できる
- 公務員を激減できる
といったメリットがあるのですが、デメリットとしてインフレが懸念されていました。
現在のアメリカはベーシックインカムのテストをしているようなものですから、実際にベーシックインカムが導入された際、懸念されていたインフレが進行してしまう可能性が明らかとなりました。
私はベーシックインカムに賛成していましたが、アメリカのインフレを知ってしまったいま、ベーシックインカムの実現は難しそうだと感じています。
体を壊したり命を落としたりするまで働く必要はないと思いますが、「働かない方が得」というのは、やはり問題がありますね。